2021 Fiscal Year Research-status Report
デジタルツインを用いたリハビリテーション用ロボットの最適支援手法の研究
Project/Area Number |
21K03966
|
Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
川合 忠雄 大阪市立大学, 大学院工学研究科, 教授 (20177637)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高井 飛鳥 大阪市立大学, 大学院工学研究科, 助教 (70769843)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | デジタルツイン / リハビリ支援 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究ではデジタルツインの考え方をリハビリテーションに適用することにより機能回復の効果を高めることを目指している。デジタルツインとは、実世界のシステムをコンピュータ上にモデルとして再現し、実世界の情報をモデルに反映することにより、実システムの状態をモデルから推測する考え方である。推測結果を適切に実システムに反映することにより、実システムをより効率的に運用するなどの優れた効果を期待できる。 本研究では、上記を実現するための基礎的な取り組みとして、肘のリハビリテーションを対象として、(ⅰ)人体とリハビリテーションを補助する支援ロボットのコンピュータモデルを構築、(ⅱ)ロボットを設計・製作、(ⅲ)人とロボットの動きや相互に及ぼす力(インタラクション)を計測し、モデルから腕の動きや負荷を推測して、ロボットが適切な支援を行っているか評価、(ⅳ)上記の評価に基づいてより有効な支援方法を求め、ロボットを制御する研究を行う。 本年度は、(ⅰ)腕とロボットのコンピュータモデルの構築、に取り組んだ。これらのモデルはModelica言語を用いて構築している。支援ロボットのアクチュエータである空気圧人工筋は、Modelica言語の標準ライブラリに無かったため、Pujana-Arreseらの研究を参考に、空圧と出力の関係式を用いてモデル化を進めた。空気圧人工筋の特性計測実験を実施し、本研究で実際に使用する空気圧人工筋のモデルパラメータの同定に取り組んだ。支援ロボットのアクチュエータのデジタルツインモデルを製作することができた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は支援ロボットの製作を目指していたが、腕のコンピュータモデルの構築に想定以上の時間を要したため、支援ロボットの詳細設計と部品・センサ購入にて年度末を向かえた。腕のコンピュータモデルは、上腕・前腕・肩関節・肘関節、そして肘関節の屈曲と伸展の主導筋で構成することとした。そのため、肘関節の屈曲と伸展に関わる筋の個人差を検証する必要が生じたため、計画時には予定していなかったが表面筋電図にて評価する実験を行った。複数の候補の中から、被験者間で共通する主動筋を特定できた。それらの筋の最大緊張力や起始・停止点などは既に先行研究により得られていたため、それらのパラメータをModelica言語を用いて作成しているモデルパラメータにすることで、本研究にて用いる腕のデジタルツインモデルを製作することができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
今年度設計した支援ロボットの機構構成を含めたデジタルツインモデルの製作を目指す。空気圧人工筋の特性評価実験の結果、空気圧人工筋の収縮と伸張のヒステリシス特性が想定以上に大きく、目標支援力に対する誤差を機構的・制御的に解決する必要性が明らかになった。そのため、リハビリテーションに必要となる支援力をModelica言語を用いて製作したデジタルツインモデルで事前にシミュレーションし、実ロボットの寸法確定に役立て、(ⅱ)実ロボットを設計・製作、に取り組む計画である。
|
Causes of Carryover |
年度末の処理においてわずかな残金が発生してしまった。残金は次年度に繰り越し使用する予定。
|