2021 Fiscal Year Research-status Report
1メートルストローク、1ナノメートル微動を実現するワイヤレス多自由度小型自走機械
Project/Area Number |
21K03972
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Research Institution | Aichi Institute of Technology |
Principal Investigator |
鳥井 昭宏 愛知工業大学, 工学部, 教授 (70267889)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
道木 加絵 愛知工業大学, 工学部, 教授 (00350942)
元谷 卓 愛知工業大学, 工学部, 准教授 (80733443)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 小型自走機械 / マイクロロボット / ワイヤレス給電 / 位置計測 / 画像処理 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の多自由度小型自走機械は、大型機械の一部に組み込んで使用するのではなく、大型機械から解放して単独の小型移動機構として運転する。小型自走機械は電磁石による位置保持と圧電アクチュエータによる微小移動の繰り返しによって移動する。これまでの開発経緯から、広域平面内の位置計測システムの開発とワイヤレス駆動が不可欠であることがわかっている。広範囲のグローバル位置計測システムと精密なローカル位置計測システムの連携と、ワイヤレス給電と情報通信技術によって、これらの問題を解決する。 精密移動を実現するために必要な自走機械の構造を検討した。圧電アクチュエータの取付位置と移動量のばらつきの関係を明らかにした。移動平面に近い(低い)場所に圧電アクチュエータを配置すると、外乱の影響を受けやすいことが明らかになった。一方、移動平面から遠い(高い)位置に圧電アクチュエータを取り付けると、外乱の影響は受けないものの振動的な挙動を示すことが分かった。次に、小型自走機械の移動は摩擦による外乱の影響を受けた。摩擦の影響を除去するために、振動を用いて浮上させる機構を検討した。浮上量を推定するために、周波数特性を明らかにした。これによってセンサレス浮上量推定が可能になり、小型自走機械の精密移動に効果的である。広い範囲のグローバル計測には、カメラによる画像処理を用いた。この方式は、特に平面内での角度変化の計測に有効であった。 電力供給には、コイルを用いる磁界共振電界結合方式のワイヤレス給電を用いた。コイル間の相対位置の変化による供給電力・電圧の変化を明らかにした。それらの変動を自動的に補償するための制御回路を導入し、実験的にコイル間の相対位置の変化の影響を評価した上で、自動補償回路の効果をシミュレーションによって示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
レーザ変位計を用いた微小領域の精密位置姿勢計測に加えて、カメラを用いた画像処理・位置計測を導入し、グローバル位置計測へ対応した。特に、10度以上の角度の計測にはカメラの導入は有効であることを示した。 外乱が微小移動に及ぼす影響を低減するために、小型自走機械の構造と外乱特性の関係を評価できた。構造を変更することにより、外乱の影響を低減できることを示した。さらに、摩擦による外乱を低減するために、振動による浮上を実現し、その特性を評価できた。電気信号と浮上の関係を明らかにすることができた。共振状態、反共振状態近傍での振動による浮上が明らかになった。 ワイヤレス給電を目指し、ワイヤを用いない電力供給を行った。コイルを用いる磁界共振結合方式の電力伝送を念頭に、小型自走機械の姿勢変化による受電電圧・受電電力の変動を実験的に評価した。その結果を用いて自動的に受電電圧を調整する制御回路の導入による効果を、シミュレーションにより評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
カメラを用いた位置計測に関して、50cm四方の大きさの平面内で小型自走機械の位置計測を行う。広い範囲で移動させるために、床面電極を用いた小型自走機械への電力供給を試みる。磁界結合方式のワイヤレス給電はコイル間の距離の変化に鈍感であるが、数センチメートルのコイルの大きさに対して、移動距離が十分に大きいからである。 小型自走機械の移動速度を向上させる。移動速度は使用している電磁石の時定数によって制限されている。数cm/sの移動速度を実現するために、電磁石を用いないインチワーム機構の導入を試みる。 圧電アクチュエータを用いることによって精密動作を実現している。圧電アクチュエータの駆動には高い電圧が必要である。外部から供給された電圧を圧電アクチュエータの駆動のために昇圧する回路を導入する。この昇圧回路の導入により、ワイヤレス給電を用いた電力供給だけでなく、ボタン電池等の電池を用いた微小な電力供給が可能になる。
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Causes of Carryover |
次年度に購入予定の物品の購入に使用するため。
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Research Products
(12 results)