2022 Fiscal Year Research-status Report
Development of brittle star type robot moving on water-bottom for long term survey and monitoring
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21K03982
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Research Institution | Chiba Institute of Technology |
Principal Investigator |
青木 岳史 千葉工業大学, 先進工学部, 教授 (20397045)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
内田 史朗 千葉工業大学, 工学部, 教授 (50761095)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ロボット工学 / ソフトロボット |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究ではクモヒトデの歩容を腕骨を規範とした連続体脚の螺旋捻転運動にすることによって省自由度化を実現することとした.これまでに空気圧式とワイヤ式による駆動方法を開発してきた.空気圧式は屈曲の再現性はいいが気室の誤差や造形に制限があり,ワイヤ式は工数が少ないが摺動抵抗により屈曲の再現性が低いことが両者の比較により得られた.そこでワイヤ式の課題を解決し,屈曲性能と再現性を向上させた連続体脚の開発を進めてきた. 螺旋捻転運動は,全ての関節で一定の屈曲角度と捻じれ角度によって形成するため,螺旋はF常螺旋となる.しかし常螺旋では螺旋中心からのオフセットが存在し,一点に固定することができない.そこで円錐螺旋と組み合わせた拡張円錐螺旋式を新たに導出し,固定された1点から開始する螺旋捻転運動を実現した.これによって螺旋形状の連続体脚の端部をロボットの胴体部に固定することができ,胴体内に配置したモータによってワイヤを介して連続体脚を駆動することが可能となった. 拡張円錐螺旋を連続体脚へ適用した場合は,脚の軌道は関節の長さと屈曲角度,各関節の断面に円周状に等配で配置されたワイヤの隣接する関節との捻じれ角度で決まる.捻じれ角度は固定であるが,ワイヤの巻取り量によって各関節の屈曲角を制御することができるので,地面に接地する連続体脚の1周期目の点群の円軌道の大きさを変更し,1回転での移動量を変えることが可能となった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
3本のワイヤによって駆動する1脚モデルの試作を行った.各関節の屈曲は楕円ボールジョイントによって行う.楕円ボールジョイントは2方向への屈曲が可能であり,かつ捻じり方向の運動を拘束することができる.先行研究では関節部をMarkfoegrd社製のFDM方式の3Dプリンタを用いてOnyxで造形していたが,今回は精度を向上させるために部品を一体化して成形するため,光造形機「Phrozen」を用いてStandardレジンによって造形した.今回は連続体脚の断面に120度等配で3本のワイヤを配置し,各関節ごとに20度の位相で捻じった構造とした.29節連結した連続体脚を根元に配置したサーボモータを用いて駆動する.ワイヤはXBRAID社製のULTRA2 30号を用いた. 1脚モデルを用いた移動実験を行った.連続体脚の螺旋の1周期目の接地点が地面を押すことにより胴体部が持ち上がり,移動を行う.また胴体が接地する際は連続体脚が持ち上がり,これを交互に繰り返すことによって胴体部は横方向へ移動する.移動実験よりほぼ理論値通りの移動が実現できていることを確認した. 連続体脚による螺旋捻転運動によって全方向移動を実現するために3脚モデルの試作を行った.多くのクモヒトデは5本の脚を持つが,本研究では省自由度化を目的とするため,脚を5本から3本に減らすことにした.3本は全方向移動を実現する際の最低本数である.オムニホイールと同様に,移動方向に合わせて各脚の1周期目の接地点での移動量を制御し,その他の方向への移動は接地点が順にずれていくスキッドスライドを利用して相殺する.各脚の螺旋捻転運動の周期は同じであり,3本の脚が同じタイミングで胴体部を持ち上げる.動作実験より全方向移動が実現できていることを確認した.
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに連続体脚による螺旋捻転運動によって異なる移動量の生成に成功し,これを3脚で組み合わせることによって全方向移動を実現した.しかし連続体脚の各関節の屈曲角が大きいほど移動量の理論値との誤差が大きくなり,移動方向からずれてしまう問題が発生した. 動作実験より今回の試作機で2つの問題点が判明した.第1の問題点は,胴体部の大きさに対して連続体脚が短いことにより胴体部で傾きが大きく発生し,安定した動作ができないことがあった.本来は連続体脚の螺旋は2周期を確保する予定であったが,移動中に1点での接地となる瞬間があり,脚の接地範囲が小さいことによる動作の不安定さがあった.今後は関節数を20から40~50個へ増やし,先端は大きな螺旋を作る必要がないため,屈曲角度を小さくした楕円ボールジョイントにすることを検討する. 第2の問題点は連続体脚の特性にバラつきがあり,各脚の動作プログラムの微調整が不十分であった点である.今後は各部品の製造誤差を減らすとともに,動作の最適化を進める. 最終年度は機体に簡易的な防水処理を施し,水中での動作実験の実施を目指す.連続体脚の防水方法については幾つか検討しているが,実際に製作できるか未定である.伸縮性があり,かつ長尺での製造が可能な防水カバーの設計を進める予定である.
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Causes of Carryover |
投稿を予定していた学術雑誌への投稿論文が年度内に投稿できなかったため,次年度使用額が発生した.投稿予定の論文は令和5年度に投稿する.
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