2021 Fiscal Year Research-status Report
高度制御高電圧バーストパルスを用いた水面上パルス放電による気液界面現象の解明
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21K03994
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
高橋 克幸 岩手大学, 理工学部, 准教授 (00763153)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高木 浩一 岩手大学, 理工学部, 教授 (00216615)
竹内 希 東京工業大学, 工学院, 准教授 (80467018)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 水面上パルス放電 / パルスパワー / 気液界面 / ラジカル / イオン |
Outline of Annual Research Achievements |
液面放電を連続的に発生することが可能な高電圧バーストパルス発生電源の開発を行った。構成として、パルス電源には、MOS-FETとコンデンサによって構成した回路を用いた。パルス電源は2回路用い、その出力端を、ダイオードで結合することによって、200 ns以上の遅延時間で連続的に2回のパルス電圧の発生を可能とした。またパルス幅は200 ns以上で可変であり、制御性が高いことを確認した。パルス発生電源の開発に平衡して、単発パルス放電の特性評価を行った。ICCDカメラは露光時間を20 nsとして連続的な撮影を行った。その結果、液面放電の進展速度は導電率に依らず0.3~0.4 mm/ns程度となり、正極性に比べ負極性の方がわずかに速度が速いことがわかった。放電の様相も正極よりも負極の方が直進に進展しており進展長も長いことがわかった。放電の進展長は、導電率が高い場合に減少する。次に、有機染料であるインジゴカルミンをヒドロキシラジカルの化学プローブとして用い、溶液中へのラジカル供給効率を評価した。有機染料の分解量すなわち、溶液へのヒドロキシラジカルの供給量は正極の方が大きいことがわかった。また、ヒドロキシラジカルの再結合によって生成される過酸化水素を測定したところ、過酸化水素の生成量も同様に正極の方が大きく、溶液へのヒドロキシラジカルの溶解量が大きいことがわかった。また、また,接地電極材料として鉄や銅を使用した場合、それぞれ正極、負極性に、白金やステンレスを使った場合と比較し、有機染料の分解量が増加する傾向にあることがわかった。これは接地電極から溶け出した金属イオンによる酸化力が要因だと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和3年度は、当初の計画通り、令和3年度の当初の目的として液面上パルス放電の観測とそのモデル化に必要な環境の構築として、高電圧バーストパルス発生電源の開発と、単発パルス液面放電の特性評価を行った。その結果、MOS-FET、ダイオード、コンデンサを用いた回路を構成し、パルス幅が200 ns以上、出力電圧を±20 kVのパルス幅を200 ns以上の遅延時間で連続的に2回のパルス電圧の発生を可能とするパルス電源を構築した。バースト中パルス波数は4回とすることを目的としているが、次年度において本回路を拡張し、その目標を達成する。また、単発パルス液面放電の特性として、液面放電の進展速度は導電率に依らず0.3~0.4 mm/ns程度となり、正極性に比べ負極性の方が進展性が高いこと、溶液へのヒドロキシラジカルの供給量は正極の方が大きいこと、電極材料として鉄や銅を使用した場合に金属イオンが多く溶け込み、液中有機化合物の酸化効率が高まることが明らかになった。また、COMSOLマルチフィジックスを用いた流体力学・化学反応を複合した数値計算の環境を整えた。これらのことより、を概ね達成し、次年度の研究遂行が問題無く行うことができる。
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度においては、令和3年度において構築した環境を利用し、高電圧バーストパルス発生電源の開発目標の達成とその最適化を行う予定である。また、液面上で連続的に発生したパルス放電の進展現象を、高感度ICCDカメラや分光器を用い、放電進展速度、放電面積、ラジカルの発生分布、発光スペクトルを用いた放電中気体温度の時間変化を観測する。また、放電電荷量や、水面表面電位の時間変化計測を試み、放電直後の液面の蓄積電荷などの緩和現象を定量評価する。酸解離定数が異なる有機酸などの分解特性を評価するとともに、数値計算との結果とともに、気液界面近傍におけるpH変化への影響を評価し、最大のラジカル供給効率を得られる条件を見いだす。なお、令和3年度に得られた研究成果については、学会、研究会、国際会議等での口頭発表および査読付き学術論文への投稿を順次行う予定である。
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Research Products
(6 results)