2023 Fiscal Year Annual Research Report
電気自動車に既存する電力変換器を利用した、バッテリ用交流内部加熱手法の開発
Project/Area Number |
21K03996
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
鵜野 将年 茨城大学, 理工学研究科(工学野), 准教授 (70443281)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | リチウムイオン電池 / 加熱 / 電気自動車 |
Outline of Annual Research Achievements |
寒冷地における電気自動車では,リチウムイオンバッテリ(LIB)の特性劣化を防止するための加熱が不可欠である。高効率の手法として,交流内部加熱手法が注目を集めている。しかし,インバータが別途必要となるためシステムが複雑化する。また,三角波や正弦波電流による従来の交流内部加熱手法では,低い電流実効値による長い加熱時間が課題となる。 本研究では,電気自動車に既存する電力変換器を利用した交流内部加熱手法を主に2方式、開発した。 1方式目は、車載充電器を利用した加熱技術である。車載充電器として用いられる絶縁型コンバータの一種であるDual Active Bridge(DAB)コンバータにリレーを追加したものであり、リレーで回路構成を切り替えることで加熱電流生成用インバータを構成することができる。更にこの方式に対しては電流実効値の高い台形波を生成可能なPWM制御手法を適用することが可能であり、加熱時間を劇的に短縮できる。定格充放電電力700 W/加熱電力40 Wの試作回路を製作し,LIBの加熱実験と電力伝送実験を行った。加熱実験では実効値の高い台形波電流を生成し,加熱時間を最大21.5%短縮した。電力伝送実験では,汎用DABコンバータと同様の出力特性を確認した。 2方式目は800V系バッテリ用車載昇圧コンバータを利用した加熱技術である。昇圧コンバータとしてEVに実用化されている共振形スイッチトキャパシタコンバータ(RSCC)に対してリレーを追加し、回路構成を切り替えることでRSCCを交流加熱インバータとしても利用する。試作回路を用いて電力伝送実験とLIB加熱実験を実施した。本来の機能である昇圧能力に加えて、リレーで回路を切り替えて三角波状の加熱電流を生成することでLIBの温度を-10℃から0℃まで約21分で上昇できることを実証した。
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