2022 Fiscal Year Research-status Report
高温絶縁特性取得のための 電気絶縁ガスの安定的な高温プラズマ生成手法の開発
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21K03997
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
中野 裕介 金沢大学, 電子情報通信学系, 助教 (60840668)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 絶縁ガス / 高温絶縁特性 / 誘導熱プラズマ |
Outline of Annual Research Achievements |
ガス遮断器において,系統で地絡などの故障事故が発生したとき,大電流を遮断するために電極を開極して電流を遮断する.このとき,電極間にはアーク放電が発生する.電流遮断後,電極間に残留するアークプラズマは, 3,000 K以上の高温で高い導電性を有し,電流遮断直後に印加される過渡回復電圧によって再び放電が生じやすい状態にある.アーク放電そのもののばらつきが実験的な評価を困難にさせているため,高温に晒された絶縁ガスの電気絶縁特性を定量的に精緻に明らかにする必要がある.本研究では,高次に制御した誘導熱プラズマにより生成した高温場における絶縁ガスの極めて信頼性の高い電気絶縁特性の評価手法の開発を目的とする. 今年度は,シースガスArおよびCO2ガスの流量変更時のプラズマ安定化条件の検討,および構築した誘導熱プラズマ装置を用い,分光測定により下部の電極間に生成される高温場の温度推定を行った.誘導熱プラズマ装置は,より安定的にプラズマが生成できるよう誘導コイルを直列に配置しており,絶縁ガス導入によるプラズマの不安定性が解消されている.結果として,誘導熱プラズマ装置の下段のコイル電力を10 kWから6 kWまで減少させた場合,シースガス流量を90 slpmから50 slpmまで減少させた場合も,安定的にプラズマが生成されることがわかった.また,各条件において分光観測により電極間の温度が推定できることがわかった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度の段階で,誘導熱プラズマ装置の構築,装置下流の電圧印加系の設計・構築まで着手することができたため.また,種々のパラメータ変更時のプラズマ安定化条件を検討でき,分光測定から温度推定まで行えたため.
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Strategy for Future Research Activity |
プラズマを生成する誘導熱プラズマ装置における条件変更に加え,導入する絶縁ガスの条件を変更する.具体的には,導入ガス流量や混合ガスの比率である.また実験的に推定した温度と並行して理論数値解析による温度推定を行う.
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Causes of Carryover |
当該年度は,当初予定した予算内で十分に目標に達したため.具体的には,誘導熱プラズマを用いて高温化した絶縁ガス環境下におけるプラズマの安定条件を一部見出した.次年度,さらなるパラメータ変更を行うために,導入ガス系の改良および構築した高電圧印加系の改良を行う.
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Research Products
(3 results)