2021 Fiscal Year Research-status Report
Development of reluctance torque control model including flux saturation
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21K03999
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
石川 裕記 岐阜大学, 工学部, 教授 (90273119)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | パワーエレクトロニクス / リラクタンストルク / 磁気非線形領域 / モータ制御 |
Outline of Annual Research Achievements |
スイッチドリラクタンスモータ(SRM)や埋込磁石形同期モータのように,モータの鉄心形状が非対称であるとき,鎖交磁束の磁路における磁気抵抗が小さくなるようにリラクタンストルク(TqR)が発生する。TqRは磁路の経路に依存する上,磁束の発生源であるモータ電流に対する鉄心の磁化特性にも依存する。このため,TqRの把握には電磁界解析を用いるのが主流である。これに対し本研究では,電磁界解析を用いない手法として実電流の検出値および鎖交磁束の算定値を用いて鉄心の磁化特性を把握し,この関係からTqRを推定する新しいモデルを構築することを目的としている。 当該年度において,リラクタンストルク解析手法を開発すべく,まず,インピーダンスアナライザ(HIOK I,IM3533-01)を用いてSRMのモータ定数を測定した。測定したモータ定数を用いてモータの鉄心形状から理論的に回転子位置をパラメータとして蓄積される磁気エネルギー特性を導出し,この特性からTqRを導出することを試みた。この結果,固定子突極と回転子突極の有効対向面積が比較的大きい領域においては二次元磁場解析結果で得られたトルク特性との相関関係が認められるが,有効面積突極が極端に小さい非対向位置においては相関関係が認められるとは言い難い結果となった。一方,同時並行的に,測定したモータ定数を用いたモータの等価回路を用いた回路シミュレーションにより得られた鎖交磁束およびモータ電流,トルクの関係から,モータ電流を励磁電流とトルク電流に分離し,トルク電流とトルクの関係を導出することを試みている。二次元磁場解析結果より得られる鎖交磁束と回路シミュレーションによって得られる鎖交磁束はほぼ一致し,モータ電流と巻線インダクタンスから得られる鎖交磁束とは一致しないことが確認できており,これを利用してトルク電流・トルク解析モデルを構築しているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
申請時に必要としていた研究経費に対して交付額が減額されたことにより,当初予定していた三次元電磁界解析ソフトウェアによる基礎データの採取を断念し,モータ形状に基づく理論解析および二次元電磁界解析,実測結果の利用に切り替えざるを得なかった。このため,磁束やポテンシャルの三次元分布による検討ではなく平均的データによる検討を行っており,特にモータ形状に基づく理論解析の妥当性の検証に苦慮しており,時間を有している。平均的データであれば等価回路を用いた回路シミュレーションを利用した検討との比較も有用な方策であり,追加検討事項として同時並行的に実施している。さらに,半導体部品の納期の長期化にともない,当該年度に製作予定であった装置の完成度に遅れも出ていることからやや遅れていると判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
モータ形状に基づく理論解析および二次元電磁界解析,実測結果の利用,等価回路を用いた回路シミュレーションを利用した検討により電磁界解析を用いなくてもTqR解析が可能なモデルを構築する。これをSRMおよび埋込磁石形同期電動機に適用し,容易にTqRを把握し,制御を可能にする可変速モータ駆動システムを開発する。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由として,COVID-19感染拡大防止のため,当初予定していた情報収集のための出張等ができず,旅費を使用できなかったこと,半導体部品の納期の長期化が挙げられる。使用計画については,滞っている装置作成および情報収集を遂行するため,消耗品費,旅費として使用する予定である。
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