2021 Fiscal Year Research-status Report
Research on Active Species Produced in Plasma Treated Solutions and Their Effect on Human T Cells
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21K04003
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
寺西 研二 徳島大学, 大学院社会産業理工学研究部(理工学域), 准教授 (80435403)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
白井 昭博 徳島大学, 大学院社会産業理工学研究部(生物資源産業学域), 准教授 (40380117)
岡久 稔也 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 特任教授 (60304515)
曽我部 正弘 徳島大学, キャンパスライフ健康支援センター, 教授 (60732790)
中川 忠彦 島根県立大学, 看護栄養学部, 助教 (40634275)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 放電プラズマ / 炎症性腸疾患 / 化学活性種 / ヒトT細胞 / プラズマ照射溶液 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度はアルゴン誘電体バリア放電プラズマを照射した生理食塩水がJurkat細胞の生存率とアポトーシス誘導に及ぼす影響について調査した。生理食塩水16 mLにアルゴン誘電体バリア放電プラズマを15分間照射して生成したプラズマ照射生理食塩水(PTS)5 mLを30分間Jurkat細胞に曝露した。その後,同細胞を0,3,6,21,24,27,30時間培養した際の細胞生存率をトリパンブルー染色を用いて評価した。PTSに曝露していない細胞の生存率は30時間の培養において80~90%の間でほぼ一定であったのに対し,PTSに曝露した細胞については,培養開始直後に87.8%であった細胞生存率は,培養3時間後から徐々に減少し,30時間後には28.2%となり,PTSに曝露したJurkat細胞を30時間培養した際の細胞生存率の経時変化を明らかにすることができた。また,この時の生細胞と死細胞数の経時変化から,PTSに曝露したJurkat細胞は細胞増殖が抑制されることも明らかとなった。さらに,同様の条件でPTSに曝露し,3,6,24時間培養したJurkat細胞について,フローサイトメトリーによるアポトーシス検査を実施したところ,PTSに曝露したJurkat細胞のアポトーシス誘導が確認され,PTSに曝露したJurkat細胞は初期アポトーシスを経由して細胞死を引き起こすことがわかった。これらの結果は,令和3年9月に島根県で開催された令和3年電気学会基礎・材料・共通部門大会(オンライン)と,令和3年10月にアメリカ合衆国(アラバマ)で開催された74th Annual Gaseous Electronics Conference(オンライン)で発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
プラズマ照射生理食塩水(PTS)に曝露したJurkat細胞を培養した際の細胞生存率やアポトーシス誘導の詳細について明らかにすることができた。さらに,PTS中に含まれる過酸化水素や塩化物イオン濃度特性,pH,導電率など,PTSの化学特性に加え,PTS生成時の発光分光特性や,Jurkat細胞へのアポトーシス誘導に寄与するPTS中の化学活性種に関する検討なども進めており,研究課題の行うべき計画について幅広く検討できたことから,概ね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでPTSの生成やPTSへの曝露時間などについては,1つの条件でのみ実験を行ってきたので,今後は生理食塩水へのプラズマ照射時間や投入エネルギー,PTSへの曝露時間などを変化させた際のアポトーシス誘導特性やPTSの化学特性などについても検討を行い,Jurkat細胞へのアポトーシス誘導を制御するための基礎データ収集を行いたいと考えている。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルスの蔓延により,国内外の会議が全てオンライン開催となり,現地に出張するための旅費の支出がなかったことが理由の大部分であると考えている。繰り越した分については,細胞実験等で継続的に使用する消耗品の購入に活用したいと考えている。
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