2021 Fiscal Year Research-status Report
EVアグリゲータの当日計画作成における計算時間短縮手法の研究
Project/Area Number |
21K04009
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
田村 滋 明治大学, 総合数理学部, 専任教授 (90708885)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 電気自動車 / V2G / EVアグリゲータ / 確率論的プログラミング / シナリオリダクション |
Outline of Annual Research Achievements |
EVアグリゲータの計画はビジネスの収益を最大化する最適化問題を解くことにより得られるが,EVはV2G(Vehicle-to-Grid)としての利用可能時間や利用可能量に不確実性があることから,それらの不確実性をシナリオ化し,多数のシナリオに対する確率的最適化問題として扱うのが一般的である。本研究は,EVアグリゲータが電力市場に参加してビジネスを営む際のEVの不確実性を取り扱う確率的最適化問題において,その計算時間を短縮する新手法を確立することである。特に,EVアグリゲータの当日計画において計算時間短縮のニーズが高い。 新手法の効果を評価するために,研究計画においては2021年度は従来手法を適用しその計算時間を測定することであった。EVアグリゲータの翌日計画にまず従来手法を適用し評価した。次に,EVアグリゲータの当日計画にも従来手法を適用したが,予想していたより計算時間が短かかった。2022年度以降の新手法の効果を評価するためには従来手法の計算時間が長い方が良いため,今後は翌日計画および当日計画の定式化を詳細・複雑化して実施するように修正する。 なお,EVアグリゲータの翌日計画において,従来手法を適用した際の計算時間について評価,考察した。また,本研究と目的は異なるが,社会的課題となっている再生可能エネルギー余剰問題に対し,EVを用いて再生可能エネルギーの抑制量(遮断量)を少なくするためのEVの最適充放電計画策定問題において従来手法を適用した際の計算時間についても評価,考察した。これらの結果から,従来手法は必ずしも常に有効とは限らないことがわかった。従来手法の計算時間の評価,考察について,2021年度はジャーナル2件,学会発表4件を研究発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2021年度は以下のようにして新手法と比較する従来法のデータを収集した。 (a)定式化とプログラミング:EVアグリゲータの当日計画の収益最大化を,翌日計画の定式化を拡張し,翌日計画で決定したスポット市場からの調達量,一時間前市場からの調達量,各シナリオの1時間毎における充放電量などを用いて定式化した。 (b)厳密解の求解:翌日計画および当日計画の最適解を求めるともに,計算時間を記録し,ベースケースを作成した。 (c)シナリオリダクションによる最適解と計算時間の評価:シナリオリダクションで最も利用されている従来手法であるBSR法(backward scenario reduction,全シナリオからひとつずつシナリオを削除する手法)を用い,翌日計画のシナリオ数を順次減少させ,その最適解と計算時間をベースケースと比較し,BSR法の効果を評価した。 また,本研究と目的は異なるが,社会的課題となっている再生可能エネルギー余剰問題に対し,EVを用いて再生可能エネルギーの抑制量(遮断量)を少なくするためのEVの最適充放電計画策定問題においてもBSR法を適用し,評価した。これらの結果から,従来手法は必ずしも常に有効とは限らないことがわかった。当日計画においても同様のことを実施しようとしたが,ベース計画の計算時間が予想より短時間であり,今後の新手法との比較に使用できないと判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度以降の新手法の効果を評価するためには従来手法の計算時間が長い方が良いため,まず翌日計画の定式化およびプログラムを詳細・複雑化して実施するように修正する。具体的には, ・計画単位時間を1時間から30分に変更する。それによってEVアグリゲータの収益も1時間毎から30分毎に変更する。 ・EVの不確実性の時間単位を変更(出発,到着の時間を1時間毎から30分毎に変更)し,シナリオ数を129シナリオから,4ⅹ129シナリオに変更する。 ・最適化問題で求める変数の数を16600から,4ⅹ16600に変更する。 そして,翌日計画において計算時間が長くかかることを確認する。上記の定式化およびプログラムを用い,当日計画の定式化およびプログラムを作成し,当日計画においても計算時間が長くかかることを確認する。その後は,当初の研究計画に基づき研究を推進する。
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Causes of Carryover |
2021年度の直接経費は全て研究動向調査のための海外学会出張旅費を計画していたが,コロナの影響で学会がオンライン開催となり旅費の支出に至らなかった。 2022年度はコロナの影響はなくなり学会が通常通り開催されると思われるので,2021年度に実施する予定であった海外学会に参加しての研究動向調査を2022年度に実施する。したがって,2022年度の海外学会出張の回数を当初の予定より増やし,2021年度分の旅費も使用する計画である。
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Research Products
(6 results)