2022 Fiscal Year Research-status Report
EVアグリゲータの当日計画作成における計算時間短縮手法の研究
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21K04009
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
田村 滋 明治大学, 総合数理学部, 専任教授 (90708885)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 電気自動車 / V2G / EVアグリゲータ / 確率的プログラミング / シナリオリダクション |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,EVアグリゲータが電力市場に参加してビジネスを営む際のEVの不確実性を取り扱う確率的最適化問題において,その計算時間を短縮する新手法を確立することである。 2021年度の研究においては、EVアグリゲータの翌日計画および当日計画の元問題の計算時間が短く、新手法の効果の評価まで至らないことがわかり、2022年度の研究において、まず翌日計画の定式化を詳細・複雑化して実施するように修正することとした。 そこで、以下の内容を実施した。・計画単位時間を1時間から30分に変更する。それによってEVアグリゲータの収益も1時間毎から30分毎に変更する。・EVの不確実性の時間単位を変更(出発,到着の時間を1時間毎から30分毎に変更)し,シナリオ数を129シナリオから,513シナリオ(4ⅹ128+1シナリオ)に変更する。・その結果、最適化問題で求める変数の数は16,600から135,600に変更される。その513シナリオの最適化問題の計算時間を測定した。 新手法の特徴は時間軸の変数の数を減らすことによる最適化問題のサイズの縮小(最適化問題の変数の数の削減)であることから、新手法の計算時間の測定は、元問題をEVの不確実性の時間単位を1時間、シナリオ数を129シナリオとして実施した。その結果、新手法の計算時間は元問題の計算時間を約93%短縮できることがわかった。 新手法の特徴は時間軸の変数の数を減らすことによる計算時間短縮であることから、上記の翌日計画における計算時間短縮は当日計画においても同様の効果があるので、敢えて当日計画の定式化とその計算時間測定は実施しないこととする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2022年度は以下のようにして元問題を定式化した。(a)定式化の時間単位を1時間から30分毎に変更するために、対象日の30分毎のスポット市場価格とペナルティ価格を定数に用いた。(b)EVの走行時間を90分と仮定し、EVの出発・到着時間を30分単位で変更することによりEVの出発・到着時間の不確実性のシナリオを増やし、513シナリオとした。 新手法の定式化は以下のように実施した。(c)定式化の時間単位を1時間とし、対象日の1時間毎のスポット市場価格とペナルティ価格は30分毎の平均値とし定数に用いた。(d)1時間単位でのEVの走行時間を2時間とし、EVの出発・到着時間の不確実性のシナリオを129シナリオとした。 元問題の計算時間を測定したところ264秒、新手法では17.6秒であったので、新手法の計算時間は元問題の計算時間を約93%短縮できることがわかった。また、元問題の最適解と新手法の最適解を比較したところ、大きな差異はないことから、新手法は精度的に問題ないことがわかった。 しかし、元問題のプログラム作成において、作成したMatlabプログラムに多くの誤りがあることがわかり、変数の数が多いことから正しいプログラムに修正するのに多大な時間を要し,2022年度の研究成果の学会発表に至らなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
元問題を従来手法であるbackward scenario reduction(全シナリオからひとつずつシナリオを削除する)手法を用い,元問題のシナリオ数を順次減少させ,その最適解と計算時間を新手法と比較,評価する。 なお、本研究提案時では、当日計画の不確実性において新手法の有効性を評価するために当日計画を翌日計画の結果を用いてシミュレーション評価する予定であったが、研究実績の概要でも述べたように、新手法の特徴は時間軸の変数の数を減らすことによる計算時間短縮であることから、翌日計画における計算時間短縮は当日計画においても同様の効果があるので、敢えて当日計画の定式化とその計算時間測定は実施しないこととする。
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Causes of Carryover |
2021年度の直接経費は全て研究動向調査のための海外学会出張旅費を計画していたが,コロナの影響で学会がオンライン開催となり旅費の支出に至らなかったため、2021年度に実施する予定であった海外学会に参加しての研究動向調査を2022年度に実施した。しかし、学会出張費用が計画した金額より安く済んだことから、若干の次年度使用額が生じた。 2023年度は研究成果発表のための学会出張に加え、研究活動に必要な消耗品などに研究費を使用する予定であり、その中で次年度使用額も使用していく予定である。
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Remarks |
私の研究活動を用いた「監修者によるコメント」の執筆依頼があり、執筆した。
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