2023 Fiscal Year Annual Research Report
EVアグリゲータの当日計画作成における計算時間短縮手法の研究
Project/Area Number |
21K04009
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
田村 滋 明治大学, 総合数理学部, 専任教授 (90708885)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 電気自動車 / V2G / EVアグリゲータ / 確率的プログラミング / シナリオリダクション |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,EVアグリゲータが電力市場に参加してビジネスを営む際のEVの不確実性を取り扱う確率的最適化問題において,その計算時間を短縮する新手法を確立することである。2021年度の研究においては、EVアグリゲータの翌日計画および当日計画の元問題の計算時間が短く、新手法の効果の評価まで至らないことがわかり、2022年度の研究においては,翌日計画の定式化を詳細・複雑化したものを元問題とすることとし,元問題を実行するためのプログラムを開発,確認した。 計画単位時間を30分とした詳細な翌日計画(元問題)の定式化では問題の変数数は135,600,制約数は360,576に対し,それを従来法のシナリオリダクション手法を用いると変数数は17,328から15,216,制約数は46,080から40,464になった。また,新手法では問題の変数数は16,600,制約数は44,096である。これらの計算時間および目的関数の値を2023年度に評価した。 その結果,計算時間においては,元問題の計算時間を従来法では1.22%から0.89%に削減し,新手法では2.98%に削減することができた。一方,計算精度である目的関数の値においては,従来法は元問題に対し14.9%から11.87%の誤差を生じさせるのに対し,新手法では4.94%の誤差に留まることがわかった。すなわち,新手法は元問題に対し計算時間を大きく削減できるが従来法ほど速くはない,しかし計算精度の点では新手法の方が従来手法より良いことがわかった。計算時間は問題の大きさだけでなく,問題の複雑さにも依存する可能性があるため,新手法を評価するためには,さらにより多くの比較事例が必要であると考える。 上記の研究成果を,国内研究会に発表するとともに,海外学会でも発表した。
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