2021 Fiscal Year Research-status Report
Development of a new insulating cylinder to achieve corona-free operation when high voltage is applied
Project/Area Number |
21K04014
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
高柳 智弘 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 J-PARCセンター, 研究主幹 (10354755)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | コロナ放電 / 絶縁筒 / 高電圧 / 同電位化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、高電圧半導体スイッチを実用化するため、高電圧印加時のコロナフリーを実現し、信頼性と寿命に優れる新しい絶縁筒の開発を目的とする。金属と絶縁体が密着して空気層が無くなり、さらに、強電界部を絶縁体内に形成する曲面形状を絶縁筒で実現できれば、空気絶縁に頼らず三重点の強電界を緩和する高絶縁構造を確立できる。そこで、絶縁体の表裏両面のメタライズと電位の固定及び絶縁体形状の最適化を試験で確認し、強電界緩和方法を確立する。 半導体スイッチ電源の試験機サイズに合わせた絶縁筒を製作し、出力通電試験にてパルス波形の形状を確認する性能評価を行った。絶縁筒は、電界集中を緩和する形状とメタライズ処理のマスキング範囲それぞれの構造設計で性能が決まるため、3次元電磁場解析を実施して最適構造解を算出した。絶縁筒の構造体は、PLA(ポリ乳酸樹脂)材を用いた3次元プリンターで製作した。絶縁筒の大きさは、通電試験に使う3枚の半導体スイッチ電源の主回路基板に対応できる最大直径63mm、高さ220mmとし、内側には直径25mmの内導体を通す直径35mmの開口部がある円筒形状をしている。メタライズは、導電塗料(ドータイトD-550)で絶縁筒の表裏両面を処理した。このとき、絶縁部を残す範囲はマスキングテープで覆った。絶縁筒のメタライズ処理面は、接触子を用いて出力基板に備える金属外導体面と電位固定を行う。接触子は試験的にアルミホイルを加工して製作した。 開発した絶縁筒により、パルス波形の形状が乱れるなどの悪い影響を与えてはいけない。LCRのインピーダンス測定と3.2kVの通電試験を実施し、絶縁筒の有無、金属面との接触有無の比較試験を行い、それぞれの出力波形形状をオシロスコープの測定で評価した。その結果、挿入した絶縁筒による出力波形の乱れは確認できず、設計検討した本構造の優位性を確認することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
製作できる限界と制限に対応した絶縁筒構造設計の最適解の算出と、絶縁筒の製作を可能とする3次元プリンターの選定に多くの時間を費やしてしまった。しかし、想定した良い結果を得ることができた。 また、当初の計画では、令和3年度において絶縁筒の構造設計と試験を終えることを想定していたが、試験結果が良好であったため、令和4年度に計画していた接触子の試験を前倒しで開始することができた。これらのことから、当初の計画以上に発展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
本絶縁構造で正常な通電ができることを確認できた。ただし、本構造を実用化するには、今回の試験で同電位化に用いたアルミホイル製の接触子を、長期安定化に耐え得る金属構造体で製作する必要がある。今回の試験を通し、出力基板に備える金属外導体に接触ボルトをネジ固定し、ネジの締め付け具合で接触子の位置が変位して絶縁筒のメタライズ面に確実に接触させる方法を立案した。この方法は、振動による緩みを防止し、且つ、確実に電位固定をすることが可能である。本構造の設計製作を発注し、同様の通電試験を行う。さらには、高電圧印加時に、絶縁筒表面にコロナ放電が発生していないことを検出器で確認する。
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Causes of Carryover |
試験に使用する絶縁筒が当初の計画より安価で製作できたため、次年度使用額が発生した。次年度使用額は、令和4年度分研究費と合わせて、実用化に向けた構造設計に係る費用等として使用する。
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