2021 Fiscal Year Research-status Report
観測データに基づく低慣性電力システムオンライン統合制御
Project/Area Number |
21K04025
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
渡邊 政幸 九州工業大学, 大学院工学研究院, 教授 (90398115)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 電力システム / 低慣性 / 仮想慣性 |
Outline of Annual Research Achievements |
電力システムにおける電力変換器連系型電源の増加による電力動揺特性の変化,特に同期状態を保ちもとの状態に戻ろうとする能力の低下や慣性力の低下によるシステム不安定化に対して,本研究では,電力変換器連系型電源の制御によって仮想的に同期発電機と同等の慣性力を補償させる制御により,システムを安定化し信頼性を向上するための制御手法の構築を進めている。今年度は,仮想慣性制御における出力制御方式ならびに制御パラメータの決定方法について検討した。 仮想慣性制御においてはエネルギー貯蔵が必要であり,その貯蔵量によって出力が制約を受けることから,電力システムにおける擾乱発生後の周波数変化に応じて機能を切り替える出力制御方式を構築した。具体的には,擾乱発生直後にエネルギー貯蔵から最大限出力することで周波数変動を効果的に抑制し,周波数が回復したところで同期発電機と同等の慣性力を補償する機能に切り替えを行う制御方式である。低慣性状態を模擬したモデル系統を用いて有効性を検証した結果,擾乱発生時における周波数最大偏差と周波数変化率の改善効果が確認できるとともに,切り替え制御によって必要とするエネルギーを抑制できることが確認できた。 また,本制御においては制御パラメータによって制御性能が大きく変化することから,感度分析に基づくパラメータ決定方法を検討した。慣性力を高めることで擾乱発生時の周波数変動を抑制できる一方で,回復までに時間を要しダンピング性能が低下するため適切なパラメータ調整が必要となっている。制御パラメータと周波数最大偏差の相関に基づく感度を定義することで,慣性力とダンピング性能をともに補償するパラメータ決定方法を構築した。モデル系統を用いたシミュレーションによりその有効性が確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
電力変換器連系型電源の増加による電力動揺の不安定化に対して,高い効果を有する仮想慣性制御方式の構築と制御パラメータ決定方法を構築し,モデル系統を用いたシミュレーションによってその有効性を評価することができた。研究目的に対する計画についてはおおむね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
制御方式およびパラメータ決定方法について知見が得られたことから,状態変化に対してもロバスト性を有するとともに,エネルギー貯蔵の制約を考慮した上でより高い制御性能を有する制御器の設計方法の構築を進め,モデル系統を用いたシミュレーションによりその有効性の検証を行う。
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Causes of Carryover |
(理由)学会がすべてオンライン開催となり旅費が発生しなかったため,一部を物品購入等に充てたが少額の次年度繰越が生じた。 (使用計画)次年度では50万円以上の高額備品の購入は計画しておらず,主として研究調査や学会における成果発表のための国内外旅費での使用を計画している。また,遂行上必要な少額消耗品の購入での使用を計画している。
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Research Products
(2 results)