2022 Fiscal Year Research-status Report
Development of load-independent single-input multiple-output wireless power transfer system with high frequency
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21K04029
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Research Institution | Chiba Institute of Technology |
Principal Investigator |
魏 秀欽 千葉工業大学, 工学部, 准教授 (80632009)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ワイヤレス給電システム / 負荷変動 / 負荷非依存モード / 高電力伝送効率 / 定格出力 / 簡素化 / 小型化 / ソフトスイッチング |
Outline of Annual Research Achievements |
ワイヤレス給電システムには解決すべき課題が山積している。特に負荷変動による電力伝送特性の低下への対応は最重要な課題となる。この対策として、負荷変動の情報を検知し、送電側にその情報をフィードバックすることで出力を調整する制御システムを構築するアプローチが常識的かつ一般的である。しかし、情報のフィードバックには無線通信を用いなければならず、その送電遅延を補償した制御システムの構築は容易ではない。また、複数の受電デバイスからのフィードバック情報を送電側で処理するためには、計算処理の困難度や計算負荷の増加に対する問題にも対応しなければならない。これらの流れはMHz帯のワイヤレス給電システムの特徴である小型化の利点を帳消しにしかねない。本研究では、負荷変動にロバストな一送電多受電ワイヤレス給電システムを開発することを目的とする。本研究のアイディアは30年前に提案され、これまで陽の目をみなかった、負荷変動に依存せず、安定した出力とソフトスイッチングを常に達成できる「負荷非依存モード」に光を当て、これをワイヤレス給電システム設計に応用することにある。本年度は送電部にE級インバータ、受電部にD級整流器を適用した1入力1出力のワイヤレス給電システムに負荷非依存モードを搭載するための設計理論を確立した。解析の中、入力電流の交流成分を考慮しなければならないことを明らかにし、フーリエ解析とフィルタ理論を駆使することで、上記の回路構成を備えるワイヤレス給電システムにおいて、ソフトスイッチングと定出力を常に達成する負荷非依存モードの解析表現法を新たに確立することができた。さらに、具体的なシステムを設計し、実験による動作確認を行った。その結果、高周波でソフトスイッチングと定出力動作を達成することを確認し、高効率動作と高性能化の両立が図れることを示すことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和4年度は、負荷非依存モードを搭載した、送電部にE級インバータ、受電部にD級整流器を適用した1入力1出力のワイヤレス給電システムについて、理論的な側面からその特性を明らかにし、システムを設計し、実装することが主要課題であった。まず、負荷非依存モードを搭載した1対1E級インバータとD級整流器からなる高周波高効率ワイヤレスシステムの解析手法を確立し、その解析式からシステムを設計することに成功した。これまでの高周波化・高効率化の両立を図るためにE級トポロジーを適用したワイヤレスの設計はその入力電流の直流成分だけに着目していれば設計できたが、負荷非依存モードとE級トポロジーを組み合わせたワイヤレスに関してはその入力電流の直流成分だけ考慮していても設計できず、交流成分を考慮して設計しなければならないことを明らかにした。その上で、フーリエ解析を用い回路動作を数式化することにより、受電部と結合部を送電部の一部として表現でき、その上で、共鳴理論を導入することで電力伝送効率の最大化技術の解析表現に成功した。共鳴理論による解析表現を用いることにより、システム設計が大幅に簡素化され、その妥当性を回路実験により示した。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度は6.78MHzにおける1送電5受電負荷非依存ワイヤレス給電システムの開発を進める。本フェーズはまず1対多ワイヤレス給電システムの磁界結合部のモデル化を行う。令和4年度における1対1ワイヤレス給電システムと比較して、1次側と2次側のコイルの半径の差異に起因する結合係数と受電コイル同士間の相互インダクタンスによる結合係数のモデル化を新たに検討する。また、半径が大きいコイルの中の磁場は一様でないことが予備実験により明らかになっている。磁場の非一様性が結合係数に与える影響を検討する。上記の要素を検討したうえで、磁界結合部のトランスモデルを用い、1対多負荷非依存ワイヤレス給電システムを具体的に設計する。 以上、負荷非依存モードを適用した、1送電多受電高周波高効率ワイヤレス給電システムの設計手法を確立し、システムの複雑性を増加せず、負荷変動に依らず、一定出力とソフトスイッチングを常に達成する可能性を示した上で、本研究にまとめる。
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Causes of Carryover |
本年度では、実験素子などの実験消耗品が再利用できたため、次年度使用額が生じた。 令和5年度は、具体的なシステム開発が主な研究課題となるため、主に、回路素子などの実験消耗品に使用する計画である。前2年間を通じて、実験設備は十分に用意されており、特に実験設備を購入する予定はない。回路開発期間の短縮を目的として、回路実験補助に関する謝金を積極的に導入する。さらに、前2年間の研究成果を公表するための旅費、論文誌投稿料などにも適宜に使用する。旅費に関しては、現在、国際会議に1回出席、国内の研究会などに1回出席する予定である。
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Research Products
(8 results)