2021 Fiscal Year Research-status Report
半速同期リラクタンスモータの原理を応用したEV向け可変磁束SRモータの開発
Project/Area Number |
21K04032
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Research Institution | Kanazawa Institute of Technology |
Principal Investigator |
津田 敏宏 金沢工業大学, 工学部, 講師 (10838056)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | モータ / リラクタンスモータ |
Outline of Annual Research Achievements |
省エネルギー・省資源化を実現するため,固定子と回転子を鉄と銅のみで構成し,構造が極めて簡単な特長を有するスイッチトリラクタンスモータ(SR)が注目されている。しかしながら,SRMは原理的に汎用のインバータが適用できないことや,励磁源を持たないため,力率が悪く変換器容量が大きくなる問題がある。 これに対して本研究は,研究代表者が検討している「半速同期リラクタンスモータ(半速SynRM)」の原理を応用し,固定子巻線を交流と直流で励磁する新しいSRMを開発しようとするものである。開発するSRMは直流電流を制御すると磁束が可変できるので,従来の突極形同期モータと同じように動作する。そのため,構造は従来のSRMと同様であるが,汎用の電圧形インバータで高力率運転が可能となる。
本年度は固定子巻線を集中巻としたHS-SynRM を新規に設計し,その基本特性をシミュレーションで検討した。その結果,以下の研究成果が得られた。 1)固定子巻線に集中巻と呼ばれる方式を採用し,従来のSRMと類似した構造を持つ半速SynRMを設計した。この設計した半速SynRMが始動トルクを有しており,例えばV/F制御等により,汎用の電圧形インバータで容易に駆動できることを明らかにした。2)集中巻構造を選定するのに際し,毎極毎相スロット数が分数となる分数スロットを採用することで,トルク密度の高い半速SynRMを設計できる。しかしながら,偶数次の空間高調波により始動トルクが低減する問題がある。3)現状ではトルクリップルが大きいので,これを軽減できる構造を見出す必要がある。 今後は,分数スロット構造の半速SynRMを中心に検討を進め,偶数調波並びにトルクリップルの低減法を検討していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本来であれば試作機の製作に進む予定であったが,前述のとおり,トルクリプルの低減方法や,偶数調波の影響の軽減等の新しい問題に対処する必要性が出てきたことによる。
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Strategy for Future Research Activity |
構造を以下のように変更することで,前述した問題点を解決する。1)固定子もしくは回転子鉄心にスキューを行うことで,過大なトルクリプルの軽減を図る。2)固定子のティース幅を広げることで,偶数次高調波の低減を図る。
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Causes of Carryover |
インバータの購入費用が当初見込みに比べて安かったことと,試作機製作を次年度以降に計画したため。
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