2023 Fiscal Year Research-status Report
Influence on dissolved water for practical application of the biodegradable electric insulating oil derived from plant
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21K04033
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Research Institution | Kanazawa Institute of Technology |
Principal Investigator |
宮城 克徳 金沢工業大学, 工学部, 教授 (60716190)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 生分解性電気絶縁油 / 油中溶存水 / 球-球電極 / 絶縁破壊電圧 / 針-平板電極 / 放電進展 |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は昨年度に行った3種類のエステル系絶縁油(①FR3(@Cargill社),②Pastell Neo(@ライオン),③Midel 7131(@M&I Materials社))に加え,変圧器の代替絶縁油として特に有望視されている菜種ベースの2種類の天然エステル油(④出光ECO(@出光),⑤Midel eN 1204(@M&I Materials社))を追加し,合計5種類のエステル油について調査した。一般にエステル系絶縁油は高い飽和水分溶解度を有しており,絶縁油中の放電挙動に及ぼす溶存水分量の影響(相対水分飽和度%RS(=水分溶解量/飽和水分量)を10%~80%に調整)について,(ⅰ)平等電界(球-球電極)における交流絶縁破壊電圧特性,および(ⅱ)不平等電界(針-平板電極)における雷インパルス放電進展特性を調査した。その結果, (1)球-球電極において,所要の油中水分量ごとに約100試行数の交流絶縁破壊電圧データの平均値について,各絶縁油の相対水分飽和度(%RS)で整理すると,絶縁破壊電圧は油種に関わらず,ほぼ同じ特性を有することが認められた。また,%RSごとの絶縁破壊電圧をワイブル分布による統計解析を行った結果,%RSが大,すなわち,油中溶存水分量が多くなるとともに,絶縁破壊電圧が低下し,絶縁破壊電圧のばらつきが大きくなることが認められた。 (2)針-平板電極において,雷インパルス放電挙動は絶縁油中の溶存水分量によって大きな差異が見られていない。すなわち,エステル油中の水分溶解量が飽和水分量未満であれば,放電開始電圧はほぼ同じになる。ただし,%RSが多くなると,放電ストリーマの進展長さはやや大きくなることを確認した。また,印加極性によって大きく影響を受け,正極性ストリーマの進展速度は負極性ストリーマよりも極めて速いことが示唆される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
交流の電気絶縁油破壊電圧試験装置は当初計画から半年遅れて納入されたが,当初の研究計画を見直し,かなり挽回した状況にある。
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Strategy for Future Research Activity |
(1) 平等電界(球-球電極)における絶縁破壊電圧の調査に関して,絶縁破壊電圧はJIS C 2101に準拠して実施している。すなわち,絶縁破壊試験中はスターラーによって絶縁油を攪拌して流動している。一般にエステル系絶縁油は鉱油よりも動粘度が高く,エステル油の攪拌の有無による絶縁破壊電圧特性に及ぼす影響度について産業界から要望があり,統計手法を用いて比較調査する。 (2) 不平等電界(針-平板電極)における部分放電開始特性の調査に関して,電気機器内部で放電が生じると,機器損壊に至る絶縁破壊へ進展することがある。エステル系絶縁油の実装設計する上で,エステル油中溶存水分量が雷インパルスの部分放電開始に及ぼす影響について調査・整理する。 (3)外部(学協会など)への研究成果報告では,関係する学協会(石油学会,電気学会など)へ本研究成果を発表し,エステル系絶縁油を実装する際に絶縁設計上,配慮すべき項目について報告する。
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Causes of Carryover |
文房具用品の一部へ充当する。
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Research Products
(3 results)