2021 Fiscal Year Research-status Report
コロナ放電を用いた液中への革新的活性酸素種供給法の開発
Project/Area Number |
21K04035
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Research Institution | Osaka Institute of Technology |
Principal Investigator |
見市 知昭 大阪工業大学, 工学部, 教授 (40368139)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
眞銅 雅子 大阪工業大学, 工学部, 准教授 (10345481)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 直流コロナ放電 / 活性酸素種 / 液中化学反応 / 化学反応シミュレーション / 液相流れ / PIV |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の最終目標は、コロナ放電によって液中に供給された活性酸素種の化学反応過程の解明である。これを明らかにすることで、本手法によるOHラジカルの高速・高効率利用が可能となる。 本研究では液中活性酸素種の2次元の化学反応シミュレーションを行うための予備実験として、以下の実験及び計算を行った。 (1) 液相の流れのPIV計測では、コロナ放電照射による液面での流れを観測した。コロナ放電発生用の針電極は4本のものを使用した。この流れはコロナ放電の針先直下の液面からリアクタの壁面に向かっていた。放電電流が増加し液面に向かうイオン風が強くなるほど、この流速は速くなり、最も速い条件では壁面からはリアクタ底部に向かう流れを観測することができた。 (2) 酢酸水溶液にコロナ放電を照射し、処理後の全有機炭素(TOC)濃度を測定した。初期濃度10, 70 mgTOC/Lの条件で実験を行い、いずれも放電時間とともに濃度が減少することを確認した。また液相のオゾンと過酸化水素の濃度計測を行った。これらの活性酸素種濃度の増加割合、すなわち供給速度が高い条件ほど、TOC濃度の減少が速くなることを確認した。 (3) 2次元化学反応シミュレーションの前段階として、液相の流れの計算を行った。針電極、液相、リアクタ壁面の簡易モデルを作成し、針電極直下の液面のくぼみを起点として、そこから壁面に向かう流れの流速を与えた。流速はPIV計測で得た値を用いた。計算を行った結果、PIV計測による流れの観測結果と近い傾向を示すことが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2021年度の最も大きな検討事項は、液相の流れのPIV計測であった。コロナ放電におけるイオン風によって針電極直下の液面はくぼむが、液相の流れは、そのまま下に向かわず、液面に沿って広がるような結果となった。また、下方向への流れは、液面の流れがリアクタ壁面に到達した際に生じることも明らかになった。これらの結果から供給された活性酸素種は、液面の流れに沿って輸送されると考えられ、この移動時間と化学反応に要する時間を検討することで最適なリアクタの設計が可能となる。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度は、溶存オゾン濃度の2次元分布を調査する。UV光源とレンズやファイバーなど光学系を用いて放電リアクタの片側から254 nmの紫外光を透過させ、反対側では分光器を用いてそれを検出し、その吸光度を測定する。254 nmは溶存オゾンを吸収する波長であり、オゾン濃度の計測に用いられている。これらの測定装置を製作する。また、放電リアクタについては光路長が10 cm程度となるように製作し、深さ方向、横方向の溶存オゾン濃度の測定を行う。なお、オゾン濃度を測定しやすくするために針電極の本数は、数十本程度と多めに設定する。 化学反応シミュレーションについては引き続き2次元モデルの設計および検討を行う。シミュレーションの結果とオゾン濃度の実験結果を比較して、計算の妥当性について検討を行う。 一方で、液相の流れの計測については、コロナ放電電極が4本の場合では、昨年度のような結果となったが、針電極本数が増加した場合、液相の流れがどのようになるか観測する必要がある。前述の溶存オゾン濃度測定用のリアクタで前年度と同様にPIV計測を行い、4本電極での結果との比較検討を行う。
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Causes of Carryover |
当初計画していた実験が問題なく遂行でき、追加のリアクタ製作が不要となったため。翌年度ではシミュレーションソフトの購入に充てる。
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