2023 Fiscal Year Annual Research Report
一線式によるデータと電力同時伝送システムとSmart EMCへの適用研究
Project/Area Number |
21K04043
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
都築 伸二 愛媛大学, 理工学研究科(工学系), 教授 (60236924)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉本 大志 苫小牧工業高等専門学校, 創造工学科, 助教 (40780424)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 電磁環境の認識 / 雑音の抑圧制御 / クレーンワイヤ / 電力伝送 / G3-PLC / 磁気飽和 / 高調波ノイズ / 線路推定結果の2次利用 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究の目的:対象としている車載クレーンのワイヤーロープを用いた情報と電力の同時伝送システムでは,滑車(シーブと呼ぶ)を介してワイヤーロープが電気的にループ回路を形成することに着目し,筆者らが考案した一線式PLC(Power-Line Communication)システムを適用している。これは,通常のPLCとは異なる電流駆動型であり,かつワイヤとはトランスを利用した非接触であるため,ワイヤーロープ通信にも適しているためである。 本研究では,筆者らのシナリオにおいて,最大可能受電電力を推定するためのシミュレータを作成し,実測値と一致するか検討した。またこの時に発生する伝導雑音を測定し,PLCが誤りなく行えるかを実験的に検証した。
研究実施方法と結果:送電側に理想パワーアンプを挿入し,また受電側に力率改善コンデンサを挿入したとき,ワイヤー長30m において最大78W受電できるはず(理論限界値)であることをシミュレーションで求めた。実際に使用できるパワーアンプにシミュレーン条件を合わせたときは73Wであり,実測値と一致した.また,実用時に用いる予定の矩形波による電力伝送の際に磁気飽和によって発生する伝導雑音の各高調波振幅の増大傾向を数値で近似できることを明らかにした.さらに,その高調波がPLC(G3-PLC規格準拠)装置に及ぼす影響については,トランスの磁気飽和を許容する場合でもEMC的な問題は生じなかった。 EMCの立場からは、磁気飽和が生じない状態で電力伝送を行うことが望ましい。誤差なくシミュレーションするために必要な、磁気飽和による給電電流の歪み率は0.11以下であることを明らかにした。その制約下であれば、ワイヤ長が2から30mの範囲で変動しても、受電可能電力の推定誤差は4%以下であることを明らかにした。
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