2021 Fiscal Year Research-status Report
複数のLED光変調サブキャリアの空間コヒーレンス合成による高速可視光通信
Project/Area Number |
21K04047
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Research Institution | Meijo University |
Principal Investigator |
中條 渉 名城大学, 理工学部, 教授 (40292289)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 健太郎 名城大学, 理工学部, 准教授 (40583878)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 可視光通信 / イメージセンサ / 空間合成 / ローリングシャッター / デジタルサイネージ / 均等色空間 / カメラ / スマートフォン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,多数の発光素子で構成するLED照明やディスプレイを送信機,イメージセンサを受信機に用いる.オンオフキーイングやサブキャリア変調した多数のインコヒーレント光をイメージセンサで個別に受信し,変調光の空間コヒーレンス合成を実現する.2021年度は以下の4つの技術開発を進めた. (1)LED照明光とイメージセンサによる空間合成技術:スマートフォンのディスプレイを送信機,室内カメラを受信機とする空間合成技術を開発した.シンボル間干渉を受けた空間分割多重画像を適応閾値処理することで,スクリーンピクセル値255の85x85セルとピクセル値95の75x75セル空間分割多重で,30フレーム/秒のスマートフォンディスプレイを用いて,216.75キロシンボル/秒と168.75キロシンボル/秒のデータレートをそれぞれ達成した. (2)複眼カメラによる空間合成技術:液晶ディスプレイバックライトによるオンオフキーイング信号の複眼カメラによる空間合成技術を開発した.複眼カメラによる空間合成でディスプレイ表示色に関わらず2.7キロシンボル/秒のデータレートでシンボル誤り率を改善できることを確認した. (3)液晶ディスプレイバックライトの空間合成技術:液晶ディスプレイバックライトによるオンオフキーイング信号のディスプレイ表示色に関わらず,サンプリングした受信ピクセル値のアンサンブル平均がシンボル判定に有効であることを明らかにした. (4)ディスプレイ映像に重畳されたデータ信号の空間合成技術:人の視覚特性を考慮した均等色空間(ULAB色空間,Jzazbz色空間)を用いることで従来の人の視覚特性を考慮しない色空間を用いた変調方式よりも視認されにくくより低い誤り率を達成できることを示した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(1)LED照明光とイメージセンサによる空間合成技術: スマートフォンのディスプレイと室内カメラを用いた空間分割多重技術を用いることでシンボルレートを大幅に向上できた.シンボル間干渉を受けた空間分割多重画像を適応閾値処理することで,スクリーンピクセル値95の低輝度75x75白セル空間分割多重で,168.75キロシンボル/秒のデータレートを達成した.得られた成果を学術誌IEICE Communications Expressに論文を投稿し掲載された.おおむね順調に進んでいる. (2)複眼カメラによる空間合成技術:液晶ディスプレイバックライトによるオンオフキーイング信号のディスプレイ表示色に関わらず,複眼カメラによる空間合成技術を用いることで,2.7キロシンボル/秒のデータレートでシンボル誤り率を改善できた.おおむね順調に進んでいる. (3)液晶ディスプレイバックライトの空間合成技術:液晶ディスプレイバックライトによるオンオフキーイング信号のディスプレイ表示色に関わらず,サンプリングした受信ピクセル値の空間アンサンブル平均がシンボル判定に有効であることを1.6キロシンボル/秒のデータレートで明らかにした.得られた成果を電子情報通信学会総合大会で学会発表を行った.おおむね順調に進んでいる. (4)ディスプレイ映像に重畳されたデータ信号の空間合成技術:55インチディスプレイとUSBカメラを用いた可視光通信実験により,広色域標準画像に対して提案方式の有効性を明らかにした.得られた成果を学術誌IEICE Communications Expressに論文を投稿し掲載された.おおむね順調に進んでいる.
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Strategy for Future Research Activity |
(1)LED照明光とイメージセンサによる空間合成技術:スマートフォンのディスプレイと室内カメラを用いた空間分割多重技術を更に進展させて,低輝度化とデータレート向上を図る.低輝度化については,白セルよりも低輝度化が期待される青セルや赤セルを用いて,低輝度化とシンボルレートを評価する.一方,データレート向上については,赤と青など複数色を用いた波長多重を空間分割多重と組み合わせてデータレート向上を図る. (2)複眼カメラによる空間合成技術:液晶ディスプレイバックライトによるオンオフキーイング信号のディスプレイ標準画像に関わらず,複眼カメラによる空間合成技術を用いることで,シンボル誤り率を改善できることを明らかにする. (3)液晶ディスプレイバックライトの空間合成技術:液晶ディスプレイバックライトによるオンオフキーイング信号のディスプレイ標準画像に関わらず,サンプリングした受信ピクセル値の空間アンサンブル平均でシンボル誤り率を改善できることを明らかにする. (4)ディスプレイ映像に重畳されたデータ信号の空間合成技術:単一の色成分を用いた変調方式を拡張し,複数の色成分への変調とダイバーシチ合成受信を組み合わせ,更なる性能向上を図る.
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Causes of Carryover |
(理由) コロナ禍のため国内および国際学会の大部分がオンラインとなったため旅費を当初計画どおり使用することができなかったため未使用額が生じた. (使用計画) 令和4年度はコロナ収束に伴い,国内で行われる研究発表の場は国際会議も含めて現地での対面開催が増えており,積極的に現地開催の国内及び国際会議で研究成果を発表する.また日本国内で開催される国際会議のみならず,海外で現地開催される国際会議で研究成果の発表を行い,未使用額をこれらの経費に充てることとしたい.
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