2021 Fiscal Year Research-status Report
階層化による冗長ヘッダ情報の削減と新フレームフォーマットの開発
Project/Area Number |
21K04049
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
太田 真衣 福岡大学, 工学部, 助教 (20708523)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 無線通信 / 階層化 |
Outline of Annual Research Achievements |
通信システムの発展に伴い、利用者の増加と通信に対する要求を有限な通信資源で供給することが今後さらに困難になると予想される。そこで本研究課題では、古くから用いられているOSI参照モデルに代表される階層化に着目し、有限資源の活用効率の改善効果について検討を行っている。 OSI参照モデルを用いない(階層化を崩した)、より柔軟な通信システムの確立と、階層化により発生していた冗長度の削減および有限である通信資源の有効利用効果の明確化と、人間による研究開発のための階層化を抜本的にみつめ直し、現代における冗長性を廃止し、より柔軟な通信システムを構築することにより、今後起こり得る通信システムにおける開発限界のボトルネックを解消させることを目指している。 本研究課題では、ヘッダ部分を見直し、より効率的な通信システムの実現を図る手法を提案している。ただし、ヘッダは階層ごとの円滑な処理のためには必要不可欠であり、ヘッダの削減には、ヘッダに含まれていた情報を補う必要がある。そこで、新たに情報を収集するのではなく、削減できない(残さなければならない)ヘッダ情報と信号のプリアンブル部を用い、削減された情報を推定し補完する手法を検討している。 まず、どのヘッダ情報が削減可能かを調査し、整理する必要があるため、本年度は本研究分野における最新研究動向調査を実施し、現状の把握、および 初期検討を行った。 また、フレーム構造や階層処理に詳しい上位層の研究者と積極的に議論させていただいた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究では、OSI参照モデルを用いない、より柔軟な通信システムの確立と、階層化により発生していた冗長度の削減および有限である通信資源の有効利用効果の明確化を目指している。 ネットワークの初期開発時代から長年変わることなく利用されてきたOSI参照モデルは、人間による開発に大いに適していた。しかしながら、現在ではハードウェアやソフトウェアの技術革新に伴い、人間による研究開発のための階層化を抜本的に見つめ直し、冗長性を廃止したより柔軟な通信システムを構築することが効率的な通信の実現を後押しできると考える。 現在、運営されている多くの通信システムはほぼ階層化により開発されたものであり、各層で必要な情報が別々に階層化のヘッダとして付加され、冗長度が高い可能性がある。そこで、現在利用されているシステムも含め、削減できない(残さなければならない)ヘッダ情報と、信号のプリアンブル部により復元可能な情報の調査を行う必要がある。 現在調査途中であり、システムごとのフレーム構造と階層ごとの処理工程を理解した上で、削減可能なヘッダ情報を考慮する必要があるため、これらの調査に想定以上の時間を要している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も、実用的なフレーム構成を考慮し、パケットに含まれる必要情報と冗長情報の選定を、具体的な無線システムにおいて検討を進める。 また、上位層に精通する研究者との意見交換を積極的に行い、実現可能なシステムについて検討する。 さらに、最終目標の実機実証に向けた検討を進める予定である。
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Causes of Carryover |
コロナ禍で出張や人員を確保することが難しかったため。 次年度では、計算機シミュレーションや可能な範囲での実機試作などに使用する予定である。
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