2021 Fiscal Year Research-status Report
マントルクロークを用いたアンテナの結合抑制及び指向性維持同時達成法
Project/Area Number |
21K04055
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Research Institution | 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群) |
Principal Investigator |
道下 尚文 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群), 電気情報学群, 教授 (30535357)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | アンテナ / メタマテリアル / メタ表面 / マントルクローク / 相互結合 / 放射パターン |
Outline of Annual Research Achievements |
共振周波数が異なる2個以上のアンテナを近接に配置した場合,アンテナ間の相互結合が増大する.このとき,アンテナ特性はアンテナ単体の特性からは大きく変化してしまう.したがって,アンテナ特性を維持するには,アンテナ間の相互結合の低減が必要である.本研究では,近年注目されているマントルクローク技術を利用することで,アンテナ近傍に他のアンテナが近接配置されたときの相互結合を低減するのと同時に,アンテナ特性も維持することを目的とする.マントルクロークは通常の誘電体上にメタ表面を構成することで理論的には設計可能であるが,アンテナの動作周波数と相互結合を抑制する周波数の制御範囲は明らかになっていない.そこで,本研究では,この制御範囲を明らかにするとともに結合低減の動作原理を解明し,相互結合低減とアンテナ特性維持の同時達成の実証を目指す. はじめに,アンテナやマントルクロークの構造パラメータの中から,帯域阻止特性を実現するために重要となるパラメータを明らかにした.アンテナの動作周波数,マントルクロークの帯域阻止周波数ならびにそれらの周波数間隔に対する影響を体系的にまとめた.これらの結果から,マントルクロークアンテナの動作原理を明らかにするとともに,ストリップ導体からなるマントルクロークアンテナの設計法を確立した. 次に,アンテナの動作周波数帯域に対して低域側でも阻止帯域が現れるマントルクロークを考案した.設計したマントルクロークを共振周波数が異なる2つダイポールアンテナに適用し,それぞれを近接に配置したときの相互結合低減およびアンテナ特性を確認した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り,令和3年度はマントルクロークアンテナの動作原理を明らかにするとともに,ストリップ導体からなるマントルクロークアンテナの設計法を確立した.この設計法をもとに,令和4年度に,アンテナの動作周波数帯域に対して低域側でも阻止帯域が現れるマントルクロークを検討する予定だったが,アンテナの給電部を工夫することで,早期に実現することができた.そこで,新たに考案した給電構造を有するマントルクロークを共振周波数が異なる2つのダイポールアンテナに適用し,それぞれを近接に配置したときの相互結合低減およびアンテナ特性を確認した.
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度の結果から,アンテナの動作周波数帯域に対して低域側でも阻止帯域が現れるマントルクロークの実現のためには,高誘電率の誘電体基板が必要であることが分かった.そこで,試作が容易な構造として,今まで検討してきた円筒形状ではなく矩形形状のマントルクロークの実現可能性を検討する.次に,市販の誘電体基板を用いた実用的な周波数選択板の構造を検討する.具体的には周波数選択板を構成するいくつかの種類の単位セル構造を設計し,それぞれのマントルクロークの性能を確認し,理論値による結果と比較する.次に,電磁界シミュレーションの妥当性を確認するために,試作・測定を行う.
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は,成果発表および資料収集・調査として計画していた国内の大会,研究会,海外の国際会議が,コロナのためオンライン開催となったため,旅費の使用額が大幅に減ったためである.令和4年度は,現地開催も増えてくることが予想されるため,旅費として使用するとともに,周波数選択板によるマントルクロークを試作するための,高誘電率の誘電体基板の購入に充てる計画である.
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