2021 Fiscal Year Research-status Report
Suppression of both fiber fuse initiation and propagation
Project/Area Number |
21K04056
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Research Institution | Kitami Institute of Technology |
Principal Investigator |
黒河 賢二 北見工業大学, 工学部, 教授 (60748458)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ファイバヒューズ / 伝搬抑圧 / パルス光 / 光ファイバ給電 / ハイパワー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、光通信における伝送容量の増大や防災用のモニターカメラや各種センサへの光ファイバ給電に伴う光ファイバ内パワーの増大時において、ファイバヒューズの発生伝搬による恒久的破壊を避けることができる安全な光ファイバ伝送路を提供することである。具体的には、既設の光ファイバ伝送路を構成する単一モードファイバにおいて、ファイバヒューズ発生を抑圧可能な強度変調法をさらに拡張し、より変調度の高い光パルスを入力光として用いることにより、高入力時にファイバヒューズを発生させず、かつ、万が一、発生した場合でもファイバヒューズを伝搬させない技術を確立することである。 そこで、まず、入力光が1波長のパルス光である場合におけるファイバヒューズの発生抑圧ならびに伝搬抑圧条件の明確化に取り組んだ。波長が1550 nmでデューティ比が0.5のパルス光をAO変調器により発生し光増幅器で高出力化した。テストファイバには分散シフトファイバ(DSF)を用いた。まず、連続光入力状態でファイバヒューズを発生した後、AO変調器を駆動するファンクションジェネレータの出力をONにして連続光からパルス光に変換することにより伝搬中のファイバヒューズが停止消滅する条件を実験的に求めた。その結果、平均入力パワーが3.4 Wの時、繰り返し周波数を80 kHz以下にすることで伝搬を停止できることがわかった。また、平均入力パワーが大きくなるにつれ停止に必要な周波数が小さくなることもわかった。さらに、伝搬停止が起こる繰り返し周波数のパルス光を入力光とした場合には、そもそもファイバヒューズが発生しないことも確認できた。こうして、伝搬閾値以上の平均入力パワーでもパルス光を用いることによりファイバヒューズの発生ならびに伝搬を抑圧できることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画では初年度の目標が、既設の光ファイバ伝送路を構成する単一モードファイバにおいて入力光が1波長のパルス光である場合におけるファイバヒューズの発生抑圧ならびに伝搬抑圧条件の明確化であった。一方、研究実績の概要に記したようにDSFという既設の光ファイバ伝送路を構成する単一モードファイバにおいて波長が1550 nmのパルス光を用いてファイバヒューズの発生ならびに伝搬を抑圧するために必要なパルス光の繰り返し周波数を明らかにすることができたので、研究はおおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、DSFだけではなく汎用型単一モードファイバ(SMF)においても1波長のパルス光入力におけるファイバヒューズの発生抑圧ならびに伝搬抑圧条件の明確化に取り組んでいく。そして、1波長を給電光にもう1波長を信号光として用いる2波長WDMシステムへ本方法を適用できるようにするために、波長1.48 μmの連続光と波長1.55 μmの高出力パルス光をWDMカプラにて合波し単一モードファイバに入射する実験系を用いてファイバヒューズの発生ならびに伝搬を抑圧するために必要なパルス光の繰り返し周波数を明らかにしていく予定である。
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Causes of Carryover |
初年度に実験に必要な光源装置を購入したが、その結果、約10万円の残高が生じた。残高分だけでは今後必要な装置を購入できないため、次年度予算と合算してファイバヒューズ抑圧実験に必要な装置を購入する予定である。
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Research Products
(5 results)