2022 Fiscal Year Research-status Report
環境中の細菌・ウイルスを対象としたモニタリング技術の開発
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21K04074
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
桂 進司 群馬大学, 大学院理工学府, 教授 (10260598)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 俊介 東京電機大学, 理工学部, 助教 (50778967)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ウイルス検出 / 電気集塵 / 静電噴霧 / PCR増幅 |
Outline of Annual Research Achievements |
感染症に関する安心・安全な社会を実現するためには、感染症の発生を可能な限り早く検出する常時モニタリング可能なシステムの構築が重要となる。この目的の実現のために、大気中に存在する細菌やウイルスの濃縮・回収技術として電気集塵技術および静電噴霧技術を応用し、回収した細菌やウイルスのPCRによる検出を組合わせた連続したシステムの開発を進めている。 今年度は、電気集塵による浮遊微生物の回収技術および静電噴霧を用いて反応溶液を供給する技術の開発を行った。プラスミドDNA(pUC19-18SrDNA)を含む溶液を噴霧した空気を検出対象の空気試料と考え、電気集塵用チャンバーに導入した。その下流に設置した静電噴霧チャンバーにおいて、PCR増幅試薬・酵素と検出用蛍光色素SYBR Greenを含んだ噴霧溶液MyGo Green Mixを静電噴霧装置で噴霧し、静電気力により油相中に水溶液滴として試料を回収した。これを用いてエマルションPCRを行い、そのDNA増幅を蛍光顕微鏡により観察したところ、遺伝子増幅を確認できた。このことは、電気集塵と組み合わせることにより、空気中のDNA試料を静電噴霧により供給した液滴に試料を回収できること、また、静電噴霧により供給した液滴中でPCR増幅が可能であることを示している。また、DNA増幅試料の蛍光強度を改善するために、蛍光色素であるYOYO-1をfinal 10 nMになるように噴霧試薬に添加することで、蛍光顕微鏡観察時により強い蛍光を確認することが可能になった。あわせて、高感度にDNAを検出するための手法として、融合蛍光タンパク質を用いるDNA標識法についても開発を進めてきた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究により、本研究テーマの中心的な課題である空気中からDNA試料を回収し、静電噴霧と組み合わせることによりPCR増幅による検出が可能であることはほぼ実証できたと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の研究成果において静電噴霧により生成した液滴によりDNA試料を回収可能であり、引き続くPCR増幅が可能であることを示したが、液滴径の均一性が十分でないこと、回収液滴数が少ないことの問題がある。液滴径のバラツキは高電圧印加により生じるテーラーコーンの不安定性によるものであると考えられるので、印加電圧を減らしながら、吐出針先端を超音波振動させることにより液滴径の均一性を向上させ、同時に生成液滴数を増やすことを試みる。 また、油中に回収した水溶液滴を誘電泳動により操作することにより、蛍光検出領域に誘導する手法の開発も併せて進める。
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Causes of Carryover |
今年度実施した電気集塵や静電噴霧に伴う実験装置開発においては、高電圧電源などを自作することにより研究予算の効率的な執行を行った。そして、来年度には誘電泳動による液滴制御についても研究を進める予定であるが、そのためには微細電極を作成する必要がある。これにはある程度の費用が必要となることが予想されるので、繰り越し予算と合わせて予算執行を行い、微細電極を用いる誘電泳動による液滴制御について研究を推進したい。
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Research Products
(4 results)