2021 Fiscal Year Research-status Report
光ファイバケーブル外皮への加振によるセンサ情報伝送技術の研究
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21K04078
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
真鍋 哲也 三重大学, 工学研究科, 教授 (60881175)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | センサ情報伝送 / 光ファイバ振動センサ / マッハツェンダ干渉計 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は同一光ケーブル中の2本の光ファイバを用いたマッハツェンダ干渉計型の光ファイバ振動センサについての検討,BPSK変調方式によるセンサデータ伝送およびスペクトル拡散通信方式による多重化についての基礎検討を実施した. 同一光ファイバ中の2本光ファイバを用いたマッハツェンダ干渉計型の光ファイバ振動センサの検討では,光ケーブル外皮に与えられた振動によりどのような干渉波が発生するか実験的に検証した.この結果を含む光ケーブル外皮からの振動センシングについて国際会議にて発表を行った. BPSK変調方式によるセンサデータ伝送の検討においては,まず,マッハツェンダ干渉計型の光ファイバセンサの振動計測モデルを考察した.結果,与えた振動の偶数倍の干渉波形が現れることが明らかとなったので,2倍の周波数の振動をバンドパスフィルタで取り出し復調するBPSK変復調方式を考案した.復調の際に周波数が2倍になることから,変調時には位相0・πでの変調に変えて位相0・π/2で変調する必要があることを見出した.与える振動の搬送周波数を500Hzとした時に1チャンネルであれば256ビット/秒程度でのデータ伝送が可能であることを実験により確認した.スペクトル拡散通信方式による多重化では2チャンネル伝送について実験を行った.チップレート64チップ/秒,拡散符号長15ビットの場合に3ビット/秒程度の2チャンネル多重伝送が可能であることを確認した.これらの結果については国際会議に投稿・発表予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでに,以下の3項目についての検討を計画し,検討を進めた. Ⅰ.光ファイバケーブルを安価なセンサ情報伝送路とするための,複数の光ファイバを用いた簡易な干渉系による振動検知方法. II.効率的にセンサ情報を伝送するための,光ファイバケーブル外皮に与える振動と簡易な干渉系により観測される干渉波形の関係のモデル化による伝送信号の最適な加振波形への変換方法. III.非同期で動作する複数センサの最適な同時通信方法. これまでに,提案方式のフィージビリティ確認のための基本検討および実験を実施した.Ⅰの簡易な振動検知方法としては2本の光ファイバを用いたマッハツェンダ干渉計型光ファイバ振動センサを構築し光ケーブル外部からの振動が検出可能かどうか検証を行った.従来のマッハツェンダ干渉計型の光ファイバ振動センサとは違い1本の光ケーブル内のセンサファイバおよび参照ファイバの両方に振動が加えられるため振動が検出できるかどうか不明であった.実験によりこの場合でも光ケーブル外皮より与えられた振動を検出できることが分かった.Ⅱの効率的にセンサ情報を伝送するための変調方式を検討するに際し,マッハツェンダ干渉による振動伝搬モデルを検討し変調信号の伝達特性について考察した.その結果,BPSK変調のためには0およびπによる位相変調ではなく,0およびπ/2による位相変調が必要であることを見出した.Ⅲにおける検討事項である多重伝送の可能性を探る初期検討として直接拡散方式のスペクトル拡散通信を検討した.これらⅠ,ⅡおよびⅢについての初期検討に基づき実験を実施し,2チャンネル,3ビット/秒の情報伝送を実現した.
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに,提案方式の初期検討を実施し,その実現可能性および有用性を確認した.今後は情報伝送速度の向上およびチャンネル数(多重度)の向上を目指して以下の取組を強化する. 情報伝送速度の向上のためには搬送波周波数を大きくする必要がある.しかしながら,光ファイバケーブル外皮から内部の光ファイバにどのように振動が伝搬するのか明らかでないので,ファイバケーブル外部に与える振動と光ファイバが受ける振動の伝達特性のモデル化に取り組む.その上で,センサ情報伝送に適した加振波形および周波数を実現するための超音波振動制御による高速変調技術に取り組む予定である. 複数のセンサからの非同期な情報伝送を可能にするためには,雑音耐性の高いスペクトル拡散通信方式が有望である.加振により与えられる搬送波周波数の限界値を明らかにし,スペクトル拡散方式におけるチップレートおよび拡散符号長の検討から加振による情報伝送に最適なチャンネル多重化方式を明らかにする.
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Causes of Carryover |
令和3年度は新型コロナ感染症の影響により国際会議,学会発表および研究会が全てオンライン実施となった.このため予定していた出張旅費相当額について令和4年度へ繰り越すこととなった.令和4年度は対面での学術会議が増加すると予想されるので,積極的な成果公表のための国際・国内会議参加費および旅費に充当する予定である.
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Research Products
(6 results)