2021 Fiscal Year Research-status Report
葉面電位データからわさびの「気持ち」を聞き入れた植物工場の環境制御
Project/Area Number |
21K04083
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Research Institution | Kanazawa Institute of Technology |
Principal Investigator |
平間 淳司 金沢工業大学, 工学部, 教授 (40181185)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 植物工場 / ワサビ水耕栽培 / 生体電位 / 環境制御 / 生長促進 |
Outline of Annual Research Achievements |
植物工場野菜は一般の露地栽培に比べて設備投資やランニングコストが高く採算性の低さが問題視されている。植物の至適生育要素技術(生育環境調節)は栽培現場において、生理学的側面からはほぼ確立しているが、電気生理・工学的側面からの検討は遅れている。特に本研究のように、根菜類のわさびの人工栽培は葉物類に比べ難しく国内では数カ所程度であるが栽培期間が長く、やはり採算性が低いことが厄介な課題である。本研究ではいち早くIoTやICT技術を導入し、小規模型植物工場での水耕栽培試験を実施してきた。 初年度では、研究実施計画に基づき以下の事項を実施した。 SPA(Speaking Plant Approach: 生体計測(草丈や葉の発達など(形態形成)、葉緑素、光合成活性など)に基づく栽培技術)方式による栽培管理に加えて、本研究では新たに葉面の葉面電位(生体電位)応答特性から植物体を健康診断する技術を追加して実験系の整備を強化した。本構想を達成するに規模栽培システムのハード面の要素技術の完成度を高めた。すなわち、葉面電位計測系のハード設計と製作と駆動ソフトの新規追加や改修した。 具体的には、栽培期間中に連続して葉面電位を計測し、特定の分析区間毎に電位のゆらぎ成分のエネルギ(RMS値)やバイオリズム/サーカディアンリズム(FFT値)の変動特性を計算して、わさびの健康診断も加えて栽培促進を試みた。そして、養液調整や周囲環境条件に対する更なる栽培速度増加を目指した制御パラメータの最終決定や、わさび芋の成分分析などを実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ほぼ研究計画通りに進捗しているので特記すべき事項はなし。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画書に基づき今年度は実施を予定している。以下に概要を記す。 植物の葉面電位計測データに連動したわさび生育環境制御方式導入した至適栽培制御パラメータの確立である。これまでは多くのわさび以外の一般の多品種の植物体の葉面電位の外的刺激環境に対する電位応答特性を把握済みで、例えば栽培環境の温度異常時、光照射強度不足時などの応答特性から「植物体の気持ちを間接的に知る」技術を有している。これらの過去の蓄積データを踏襲して今年度は、試験運用中の小規模わさび工場では、主としてクラウド管理による環境調節を継続的に実施する。それに加えて葉面電位応答特性や葉緑体から誘発するクロロフィル蛍光特性などから「わさびの気持ちを知り」、「これが欲しい・要らない」の生育環境状態も常時推定して、生育速度向上を目指す。また、前年度に引き続き、わさび芋の内部に蓄積している機能性成分(主としてからみ成分)であるアリルイソチオシアネートの成分分析も実施する。これによりワサビにとっての至適環境調節の評価を予定している。
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Causes of Carryover |
当初の研究計画では、研究成果を学会等で発表する予定であった。また、一般の農家でのワサビ栽培現場などへも出向き栽培テクニックなどの聞き取りなどによる研究打ち合わせも予定していた。そのための出張旅費や謝金等などを計上していた。ところが新型コロナウイルスの影響で、大学から出向くことができなかった。
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