2022 Fiscal Year Research-status Report
近赤外光生体イメージングと血管新生シミュレーションによる創傷治癒過程の定量的計測
Project/Area Number |
21K04085
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
大川 晋平 浜松医科大学, 光尖端医学教育研究センター, 教授 (20432049)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
土屋 壮登 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛, 病院 形成外科, 助教 (20866735)
平沢 壮 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛, 医用工学, 助教 (60583086)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 生体光イメージング / 生体計測 / 逆問題 |
Outline of Annual Research Achievements |
近赤外光を用いた新しい生体トモグラフィ技術として光音響トモグラフィや拡散光トモグラフィなどが研究されている。これらの技術はは放射線被曝などの心配が無く、患者に優しい診断技術として期待されている。また、比較的小型化が容易であるため、ベッドサイドなどでも用いることができる点で汎用性が高い。近赤外光は特にヘモグロビンに強く吸収されるため、ヘモグロビンがコントラストとなり、乳がんなど、血管新生を伴う生体深部のがんのイメージングを行うことができると考えられている。近赤外トモグラフィによって血管分布(血液濃度分布)の時間的な変化を捉え、血管新生の数理モデルを用いて画像解析することによって、VEGF等の血管新生因子の分布とその発生源あるいは、がんの治療効率の低い、低酸素領域をイメージングすることができる、という発想に基づき研究を行っている。 患者MRIや超音波画像を用いて光拡散方程式を有限要素法を使用して計算し、生体内光伝播をシミュレーションする方法を構築しており、血管新生の様子を画像化するための画像再構成技術がそろいつつある。この過程で拡散光トモグラフィ画像再構成に関するレヴュー論文を執筆し、論文誌に投稿し、次年度の掲載が決定している。 また、マウス等の動物実験による光を用いたイメージングの実測データからの血管新生因子分布の画像化に向けて、簡便な光トモグラフィ装置の構築に取りかかっている。レーザーダイオードや、アバランシェフォドダイオード、光ファイバーなどを用いた光源や、超音波トランスデューサとロックインアンプを用いた光音響波の検出を行い、色素濃度に依存した振幅の変化を捉えることができた。次年度に生体を模擬したファントムを用いて実測した光音響信号から画像化を行う準備ができてきた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究代表者の所属変更により、光トモグラフィ画像再構成に関する数値計算の精度検証のために使用する新たな光トモグラフィ装置が必要になり、必要機器の調達や構築に時間を要している。
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Strategy for Future Research Activity |
光トモグラフィ装置開発にまだ時間がかかりそうであるが、必要な機材はそろいつつある。この装置開発と合わせて、光トモグラフィの画像再構成法や数理モデルを用いた血管新生について、コンピュータを用いたシミュレーションを研究をすすめ、次年度中に生体模擬ファントムのトモグラフィイメージングに着手する。ファントムにて行う生体内ヘモグロビン濃度の経時変化のイメージングをもとに、前年度に構築した血管新生数理モデルを併用することで血管新生をともなう創傷治癒過程やがんによる腫瘍形成過程を定量的にモデリングすることが可能かについて検討する。
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Causes of Carryover |
研究代表者の所属変更によって研究の予定が変更になり、次年度使用額が生じた。引き続き光トモグラフィ装置開発のための部材調達等に予算を使用する。
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