2021 Fiscal Year Research-status Report
Novel sensing system based on morphological change in molecule-responsive gel
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21K04088
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Research Institution | Kitami Institute of Technology |
Principal Investigator |
兼清 泰正 北見工業大学, 工学部, 准教授 (40435748)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
青木 寛 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エネルギー・環境領域, 研究グループ長 (00392580)
吉田 裕 北見工業大学, 工学部, 教授 (30626122)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ゲル / センサ / 刺激応答 / エタノール / 導電性 / スイッチ |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、エタノール濃度に依存して湾曲する導電性二層構造ゲルの作製と、電気回路スイッチへの応答に取り組んだ。 最初に、2種類のエタノール応答性ゲルから成る二層構造ゲルを作製し、エタノール水に浸漬してその形状変化を観察した。その結果、エタノール濃度に依存して湾曲度合いが大きく変化することがわかった。この二層構造ゲルに導電性を付与するため、層間にアルミホイルを挟み込んだ構造体を作製した。この導電性二層構造ゲルも、エタノール水に浸漬すことにより湾曲度合いが変化した。エタノール濃度に依存した湾曲状態の変化を詳細に検討した結果、アルミホイルの有無やその厚みによって、異なる湾曲挙動を示すことが明らかになった。 次にアルミホイルを含むサンプルの一端をワニ口クリップで基板上に固定し、エタノール濃度を逐次変化させつつ一定時間浸漬していく実験を行った。その結果、10分ずつの浸漬では変形の可逆性は不完全であったが、24時間ずつ浸漬した場合は、ほぼ完全な可逆的変形を示した。 そこで、導電性二層構造ゲルを電気回路のスイッチとして組み込み、エタノール濃度を感知して異なるランプを点灯させる検出器のプロトタイプを作製した。今回作製した導電性二層構造ゲルは、エタノール濃度が75 wt%の場合はほぼ直線状であるが、100 wt%では一方に湾曲してスイッチがONとなり、一方のランプが点灯した。また50 wt%のエタノール水に浸漬した場合は反対側に湾曲して、もう一方のランプを点灯させた。 以上のように、導電性二層ゲルの作製と電気回路スイッチへの応用に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の主題は、刺激応答性ゲルの形状変化を、光や電気などのシグナルに変換する手法を開発し、新規メカニズムによるセンシングシステムを確立することにある。現在までに、二層構造ゲルの層間にアルミホイルを挿入する新手法を取り入れることにより、エタノールの濃度に応じて電気回路をスイッチングすることに成功しており、目標への到達の道筋が明らかになりつつある。よって、おおむね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
導電性二層構造ゲルの応答速度や可逆性・耐久性の向上を図る。このために、二層構造ゲルを合成する際に用いるモノマーの種類や組成を変更し、最適化する。層間に挟み込む金属については、アルミニウム以外に銅、チタン、ステンレスなど種々の素材を検討する。ゲルの力学的特性解析にも取り組む。
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Causes of Carryover |
兼清:紫外可視分光光度計を購入する予定であったが、既存の装置を改修することにより十分機能を果たせることが判明し、装置の新規購入を取り止めたため、次年度使用額が生じた。この装置の機能維持には定期的なメンテナンスが必要であることから、次年度繰越予算をメンテナンス費用に充当する予定である。
青木:コロナ禍により対面による打合せの規模を縮小したため、次年度使用額が生じた。次年度はコロナ禍の収束が見通せることから、対面による打合せの頻度を増やし、より効果的に共同研究を進めるために繰越予算を用いる予定である。
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