2022 Fiscal Year Research-status Report
Novel sensing system based on morphological change in molecule-responsive gel
Project/Area Number |
21K04088
|
Research Institution | Kitami Institute of Technology |
Principal Investigator |
兼清 泰正 北見工業大学, 工学部, 准教授 (40435748)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
青木 寛 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エネルギー・環境領域, 研究グループ長 (00392580)
吉田 裕 北見工業大学, 工学部, 教授 (30626122)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | ゲル / センサ / 刺激応答 / エタノール / 導電性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、刺激応答性ゲルの力学的強度向上を目指した検討を行った。 昨年度の研究により、二層構造ゲルの層間にアルミホイルを挟み込ませる手法を開発し、エタノールに応答して湾曲度が変化するゲルに導電性を付与することに成功している。さらに、このゲルを電気回路のスウィッチング素子として活用し、エタノールセンサーのプロトタイプを作製することにも成功している。しかし、従来の方法で作製したゲルは脆く壊れ易いため、長期間の繰返し使用には不向きである。そこで、新たなゲル作製法の導入により、力学的な強度の向上を検討した。 まず、ポリマーネットワークの架橋構造を化学架橋主体から物理架橋主体へと変化させるため、ゲル合成の際の主鎖モノマー濃度を上昇させる一方、架橋剤濃度を低下させた。その結果得られた二層構造ゲルは、従来と比べて破断ひずみが大幅に増大し、高いタフネス有することが明らかになった。これは、架橋剤による化学架橋の割合が減少した一方、高分子鎖の絡み合いによる物理架橋の割合が増加し、力学的変形に伴い発生する歪みをゲル全体に分散して受け止めることができるようになったためと考えられる。 次に、PVA(ポリビニルアルコール)の結晶領域形成を利用したダブルネットワーク化について検討した。PVA存在下に化学架橋ゲルを作製した後、凍結-融解処理を2回繰り返した。この操作によりPVAの結晶領域が形成したことは、X線回折や赤外吸収スペクトルの測定により確認した。得られたゲルは、PVAの結晶領域を新たな架橋点とするダブルネットワーク化により、高いタフネスを有することが明らかになった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
刺激応答性ゲルをセンシング素子として用いるためには、力学的強度や耐久性の向上が大きな課題であったが、本研究により、それを達成するための道筋が明らかになった。よって、本研究で目指す二層構造ゲルを用いた新規センシングシステムの実現に一歩づつ近づいており、おおむね順調に進展していると言える。
|
Strategy for Future Research Activity |
耐久性を高めたエタノール応答性二層構造ゲルを作製し、これを電気回路スウィッチとして用いることにより、エタノール濃度を感知してシグナルを発するセンサーを作製する。 エタノール以外にも対象物質を拡大し、本研究で導き出した方法論が普遍的に適用可能であることを示す。
|
Causes of Carryover |
コロナ禍により相互訪問の機会を十分に得られなかった。 残額は、次年度の旅費に充当する予定である。
|