2021 Fiscal Year Research-status Report
導電率・透磁率テンソルを用いたSUS316鋼の疲労過程モニタリングシステムの開発
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21K04093
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
木下 勝之 京都大学, エネルギー科学研究科, 准教授 (80325240)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 非破壊評価 / 電気伝導率テンソル / 透磁率テンソル / SUS316鋼 |
Outline of Annual Research Achievements |
①計測に用いるコイルの小型化の検討:本研究では,電気伝導率分布を計測する予定なので,分解能を上げるためにコイルはできるだけ小型化する必要がある.しかし,小型化を行うと,感度が低下する可能性があるため,小型化しつつ感度を下げないコイル形状の最適設計法を開発する必要がある.そのため本年度は,理論モデルを用いたシミュレーションを行いコイル形状および寸法と電気伝導率感度の関係を評価した.その結果,電気伝導率感度を決定するコイルの形状パラメータを見出し,コイルの最適設計を行うための準備に目途がたった. ②マイクロクラック評価システムの構築:Eshelbyの介在物理論を用いたマイクロクラックを有する電気伝導体の複合材料モデルを導出し,マイクロクラックの幾何学的パラメータとコイルインピーダンスの関係を評価可能な解析プログラムを作成した.さらに,作成した解析プログラムを用いて,マイクロクラックの幾何学的なパラメータが,コイルインピーダンスに与える影響を評価した. ③マイクロクラック評価システムの評価:②で開発したマイクロクラック評価システムの精度を評価するために,疲労試験によってSUS304試験片上でマイクロクラックを発生させ,コイルインピーダンスを計測した.その結果,現状のコイルではマイクロクラック分率が低く,電気伝導率の変化でマイクロクラックの幾何学的なパラメータを評価することが困難なことがわかった.しかし,透磁率の変化によって,マイクロクラックの評価が可能であることがわかったので,SUS316試験片でも有効か次年度に評価を行う.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予算の問題により,実施順に変更を加えたが,おおむね計画通りに進んでいる.
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Strategy for Future Research Activity |
①走査型コイルインピーダンス計測システムの構築:コイルインピーダンスの多点測定を行うため,xyz軸ステージを用いた走査型コイルインピーダンス計測システムを製作する.その際,前年度に行ったマイクロクラック評価試験により判明した現状のコイルインピーダンス計測システムの問題点も考慮に入れて設計を行う.併せて,SUS316試験片の製作および基礎物性の計測を行う. ②SUS316鋼の転位構造の変化と電気伝導率の関係のモデル化:単純引張・圧縮試験や繰り返し引張圧縮試験を行った試験片について,X線プロファイル解析やエッチピット法によって,転位密度や転位配列を計測し,電気伝導率との関係を定式化する.さらに,粒界エッチングを施した試験片で同じく試験を行い,電気伝導率の計測範囲内の平均的な結晶粒の変形や結晶粒界長さを計測し,電気伝導率テンソルとの関係を調べ,それらの関係の定式化を試みる.
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