2021 Fiscal Year Research-status Report
統計モデルと確率制御理論の融合による確率システムのモデル化-制御の体系的枠組み
Project/Area Number |
21K04106
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
佐藤 訓志 大阪大学, 工学研究科, 准教授 (60533643)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ガウス過程回帰システム / 離散時間確率システム / 確率サンプル値制御 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,以下の三点の課題に取り組んでいる. 課題① ガウス過程回帰により得られる離散時間システムと,これまで広く研究されてきた離散時間確率システムとの関連性を見出す. 課題② 確率システム制御理論に基づくガウス過程回帰で表されるシステムに対する系統的な解析・制御器設計の枠組みを構築する.さらに,ガウス過程回帰による離散時間システムに関する未踏の問題である,システムのサンプル点間における挙動の安定性も保証する制御法を構築する. 課題③ 実問題への適用により,理論と実用性を実機検証により評価する. 2021年度は,課題①,および課題③の準備に取り組んだ.まず課題①に対する成果として,サンプル時間間隔で取得した状態のデータに線形変換を施した学習データに対してガウス過程回帰を適用することで得られる離散時間システムと,確率微分方程式で記述される連続時間確率システムに同じサンプル時間を用いてオイラー・丸山法による時間離散化を適用して得られる離散時間確率システムに対して,平均関数と分散関数が等しくなるという統計的性質に関する関連性を明らかにした.これにより,これまで研究代表者が行ってきた確率システムに対する一連の制御手法および解析手法が,本研究により得られた関連性を通じてガウス過程回帰システムに対して適用できる道筋が得られた.つぎに課題③に対する成果として,小型マルチコプタと動特性に共通の特徴がありながら実験データの取得が容易であることを考慮して,2次元上の自律移動ロボットの実験環境の整備を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前述の研究課題①~③に関して,課題①は続く課題②に取り組むために肯定的に解決することが重要な課題であった.今年度の成果によって,この重要な理論基盤となるガウス過程回帰により得られる離散時間システムと,オイラー・丸山法により得られる離散時間確率システムとの間の統計的な関連性を明らかにすることができた.また,課題③の取り組みに向けた実験環境の整備により,ガウス過程回帰システムを得るための自律移動ロボットに関する実験データの取得が可能となった.これらのことから,本研究課題の進歩についておおむね順調に進展していると考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度は,主として課題②の解決に取り組む.課題①に関する成果として得られた二つのシステム間の統計的関係性に基づき,確率システム制御理論によるガウス過程回帰システムに対する系統的な解析・制御器設計の枠組みを構築する.さらに,ガウス過程回帰システムのサンプル点間における挙動の安定性も保証する制御法を構築する.この目的については,連続時間確率システムとその時間離散化により得られる離散時間確率システムとを結びつけて安定性解析・制御が可能となる確率サンプル値制御法をベースに開発を進める.
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