2021 Fiscal Year Research-status Report
Factor Extraction of Bioelectrical Signals Correlated with Subjective Values Containing Ambiguity
Project/Area Number |
21K04108
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
櫛田 大輔 鳥取大学, 工学研究科, 准教授 (30372676)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 筋活動電位 / 主観的感覚 / VAS法 / 身体的特徴 / データセット / クラスタリング |
Outline of Annual Research Achievements |
疲労を伴う運動タスクにおいて,客観的価値である筋活動電位(EMG)から主観的価値である疲労感という感覚を推定することを目的とし,今年度は実験協力者15名を募りデータ収集を行った.「疲労感」という主観的な感覚を測定するにあたって,実験協力者にはVAS(Visual Analogue Scale)法による0-100%の範囲で疲労感を適宜指示してもらうこととした.ただし,主観的な感覚は曖昧さを含むことから明確な指示ではなく,ある程度範囲を持った指示としてもらった(例えば「疲労は50-75%程度である」など). 具体的な運動タスクは,(1)壁を背にして直立姿勢を保つ,(2)非利き腕を対象として肘を90度に曲げる,(3)手首は身体内側を向くようにして手首におもりを吊るすことで上腕二頭筋に負荷を掛ける,(4)おもりは4,5,6,7kgを用意して各々のおもりに対して各3回運動タスクを行う,(5)運動タスクは5分間を目処に実施するが途中で負荷に耐えられない場合はその時点で終了する,(6)運動タスクを与える実験は1日に1回のみとして実験間隔を3日以上空ける,とした. 運動タスク実施にあたり,運動タスク中は30秒ごとに利き手によってVAS上に主観的な疲労度を指示してもらった.また,上腕二頭筋にはDelsys製のEMGセンサを取り付けてEMGを取得した.なお,体組成計を用いて実験協力者の身体的特徴を同時に入手した.結果として,15名×4種類の負荷×3回のデータセットを取得した. データセットには様々な身体的特徴を持つ実験協力者が混在していることから,身体的特徴でクラス分類を行い,3種類のクラスタにデータセットを分類した. これらデータセットを用いて次年度にEMG(客観的価値)と疲労感(主観的価値)の関係モデル構築を行う予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
実施初年度は15名を目標にデータセット生成を行うことを予定していた.今年度は計画通り15名の実験協力者を確保でき,運動タスクを計画的にスケジュールすることで滞りなくデータ収集が可能であった.また,予定よりも早目にデータ収集できたことから,データセットを身体的特徴で分類することにも追加で取り組めた.身体的特徴によるクラスタリングの際には,独立性の高い身体的特徴の絞り込みを相関分析によって行い特徴ベクトルをまずは生成した.その後,各実験協力者の特徴ベクトルを用いて総当たりで相関係数を求め,相関係数0.7以上となった実験協力者同士を同じクラスに分類した.これにより,データセットを身体的特徴によって分類でき,モデル構築の下準備が整った. データ分析そのものは次年度を予定していたが,データ収集が速やかに行えたことから,当初の予定よりも早くデータ分析に取り掛かれている.
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Strategy for Future Research Activity |
EMG(客観的価値)と疲労感(主観的価値)の関係モデルを作るためのデータセットが用意できたことから,研究計画通り今後はモデル構築を行う.関係モデルは曖昧さを表現可能なファジィ線形回帰モデルを用いる予定である.このとき,モデルパラメータとしてEMGを指標化する必要があることから,次年度前半はモデルパラメータの選定を行い,後半でモデルパラメータの係数推定,評価,評価に基づくモデルパラメータの再選定を行う.
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Causes of Carryover |
今年度は新型コロナの影響も残っており,学会参加に伴う移動リスクや学会参加者の減少から有力な情報収集は難しいと考え,参加を見送った.その分実験実施の時間に当てることで早目にデータ収集を行うことを優先した.また,解析ソフトの購入を予定していたが,フリーのPythonで十分仕様を満たすことが分かったためライセンス購入を見送った.一方で,実験に伴う消耗品や実験条件を管理するために当初想定していなかったデバイス類が必要であった.そういった物品の購入に一部を充てたものの,最終的には次年度使用額が生じてしまった. 次年度は学会も通常通り開催されるものが増えるため,予定より多くの学会へ参加を試み情報収集に努めたい.また,最終的な実験協力者20名としていたが,思いの他,実験協力者の確保ができる状況にあるため,予定以上の実験協力者を募る予定である.次年度使用額についてはそれらの補填に利用し,研究推進のために有効活用を予定している.
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