2023 Fiscal Year Annual Research Report
メタボロミクスを用いたナノ秒パルス電界による生体代謝制御技術の開発
Project/Area Number |
21K04116
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Research Institution | Sasebo National College of Technology |
Principal Investigator |
越村 匡博 佐世保工業高等専門学校, 物質工学科, 准教授 (80610310)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山崎 隆志 佐世保工業高等専門学校, 物質工学科, 教授 (20270382)
猪原 武士 佐世保工業高等専門学校, 電気電子工学科, 准教授 (30634050)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | メタボローム解析 / RNA-Seq |
Outline of Annual Research Achievements |
令和5年度はナノ秒高電界パルス(nsPEF)の印加と出芽酵母の代謝および遺伝子発現へ与える影響を明らかにするために,メタボローム解析(代謝物質解析)およびRNAシークエンス(RNA-Seq)解析を行った。メタボローム解析については電界強度0, 5, 10, 15, 20 kV/cmの条件でnsPEFを印加した菌体を一定時間培養した後,菌体より代謝物質を抽出し,ガスクロマトグラフ質量分析計(GC-MS)で代謝物質の一斉分析を行った。その結果,コントロール群(0 kV/cm)と処理群(5, 10, 15, 20 kV/cm)の間で群間に違いがあることが明らかとなった。各代謝物質の量的変化については多くの物質で生じており,クエン酸回路の代謝物質であるコハク酸とマレイン酸についても変化していた。これらの結果よりnsPEF印加によって生体内の代謝応答が生じていることが明らかとなった。様々な代謝物質が変化していることから,代謝応答については特定の代謝経路が変化するのではなく複数の経路で変化が生じることが示唆された。RNA-Seq解析については電界強度0 kV/cmと20 kV/cmの条件でnsPEFを印加した菌体について実施した。その結果,コントロール群(0 kV/cm)と処理群(20 kV/cm)の間で群間に違いがあることが明らかとなった。また,遺伝子の発現量変化については,処理群において酸化還元に関わる遺伝子の発現量が増加し,エネルギー代謝に関わる遺伝子の発現量は減少していた。これらの結果より,nsPEF印加が遺伝子発現に影響を及ぼし,その結果として代謝物質が変化することが分かった。これによりnsPEFの印加条件を詳細に検討することによって代謝物質を選択的に生産する技術を確立することが期待される。
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