2022 Fiscal Year Research-status Report
接触飛行で高耐風化する車輪型ドローンのモデリングと最適制御設計と壁面打音点検実験
Project/Area Number |
21K04120
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
山田 学 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (40242903)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
仲野 聡史 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (30847893)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 制御工学 / ドローン / 車輪型ロボット / 飛行ロボット |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者の発明した「車輪型ドローン(マルチコプタ)」は、壁面や天井などの構造物にドローンを押し付け、接触飛行させることで耐風性能を制御できるという画期的な利点をもつ。本研究の目的は、高い耐風性能と高精度の目標値追従性能を達成できる車輪型ドローンの機体設計と自動制御システム開発である。そして具体的な研究目標は、インフラ構造物(例えばビル壁面)の打音点検システムへの応用(打音点検の自動化)である。そのための具体的な研究課題は以下の①~⑥である。研究課題①「風洞実験による車輪型ドローンに対する風外乱のモデリングとデータベース」、研究課題②「ビル壁面打音点検用車輪型ドローンの最適設計と試作機製作」、研究課題③「空中を安定・安全かつ高精度に飛行できる高耐風最適制御系の開発と実験」、研究課題④「壁に接触し安全かつ高精度に飛行できる高耐風最適制御系の開発と実験」、研究課題⑤「壁面上で安全に障害物回避できる高耐風最適制御系の開発と実験である」。 2022年度は、以下の(1)~(3)のテーマについて研究を実施し成果を得た。(1)打音機構を実装したビル壁面打音点検用車輪型ドローンを設計し、試作機を製作した(研究課題①)。(2)接触状態で押しつけ力を考慮した車輪型ドローンの自動走行制御系を開発し、その有用性を実機による実験検証で実証した(研究課題④)。(3)CLF-CBF-QPによる車輪型ドローンの飛行と走行を組み合わせた障害物回避制御系を開発し、その有用性を実機実験検証で実証した(研究課題⑤)。 以上のように、ビル壁面打音点検用車輪型ドローンの試作1号機が完成したため、今後は実験研究の進展が期待できるとともに、接触走行時における実用的な自動制御系も開発し、実機実験により有用性を実証した。それらの研究成果は2023年6月の日本機械学会ロボティクス・メカトロニクス講演会などで発表し広く公開する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2022年度は研究2年目であり、以下の(1)~(3)のテーマについて研究を実施し成果を得た。(1)打音機構を実装したビル壁面打音点検用車輪型ドローンを設計し、試作機を製作した(研究課題①)。(2)接触状態で押しつけ力を考慮した車輪型ドローンの自動走行制御系を開発し、その有用性を実機による実験検証で実証した(研究課題④)。(3)CLF-CBF-QPによる車輪型ドローンの飛行と走行を組み合わせた障害物回避制御系を開発し、その有用性を実機実験検証で実証した(研究課題⑤)。 以上の結果、ビル壁面打音点検用車輪型ドローンの試作1号機が完成したため、今後は実験研究の進展が期待できるとともに、接触走行時における実用的な自動制御系も開発し、実機実験により有用性を実証した。それらの研究成果は2023年6月の日本機械学会ロボティクス・メカトロニクス講演会などで発表し広く公開する予定である。以上のように、本研究は順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度の研究計画は、研究課題①~⑥の中で、主に、研究課題①「風洞実験などによる車輪型ドローンに対する風外乱のモデリングとデータベース」、研究課題②「ビル壁面打音点検用車輪型ドローンの試作機改良」および研究課題③~⑤の「空中および壁面での高耐風最適制御系の開発」に取り組むことである。 具体的に、研究課題①では、本学の風洞実験室を利用して、様々な風速の下で車輪型ドローンの推力実験や機体まわりの流れの可視化実験を実施する。研究方法は、風洞にビル壁面を想定したセットを作り、下降流や上昇流や横風などの下で実験データを収集、解析する。橋梁やビル壁面での飛行データと合わせて、力学的な運動量保存則などに基づいて導出したモデルと比較しながら風外乱モデルおよびデータベースの精度を向上させる。研究課題②では、研究課題①の成果を応用し、試作機を改良する。研究課題③~⑤では、試作機を用いて実際のビル壁面での打音実験を実施し、ビル点検業者や有識者などに意見を伺いながら、実用化に必要とされる自動制御の要件を検討し、開発を進める予定である。
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Causes of Carryover |
上記に記載の通り、申請書に記載の研究課題について、シミュレーションと実験検証では研究目標を達成したが、コロナによる影響で、試作機の改良が十分にできなかった(試作機は1号機のみ製作)ため、次年度使用額が発生した。2023年度では、改良機など、新たな機体製作にも注力する必要があるため、必要な機材の購入(実験機は本研究室で自作することから、機体製作に必要なカーボン板、プロペラやモータ、フライトコントローラやリチウムポリマーバッテリなどの購入)、および成果発表による学会参加費に使用する予定である。
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