2022 Fiscal Year Research-status Report
A design method of H-infinity control law for interval delay systems: application to various responsive systems
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21K04127
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
児島 晃 東京都立大学, システムデザイン研究科, 教授 (80234756)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 区間むだ時間系 / H∞制御 / 線形パラメータ変動システム |
Outline of Annual Research Achievements |
区間むだ時間系は,むだ時間の存在区間を集合的にとらえたシステム表現であり,これまでの研究により,その有界実補題が明らかにされた.2022年度はこれらの結果に基づき,研究開始時に定めたスマートグリッドに関する課題[B]に着手し,以下の成果を得た. [B]需要家等の多様な応答を考慮したスマートグリッドの制御と他分野への展開:自然エネルギーが大量導入された系統においては,1)系統慣性が減少し過渡応答の抑制が難しくなり,また 2)火力機系をアシストする自然エネルギー発電との応答特性の差異に対処する制御法の開発が必要になる.そこで,先に導かれた区間むだ時間系の成果を展開することにより,以下の課題に取り組んだ. (a) 負荷周波数制御(LFC)における制御指標とゲイン調整法:自然エネルギーが大量導入されたLFCにおいては,性能を系統慣性の回復度から評価することが有用である.そこで本課題においては,LFCの性能を系統慣性の回復度に対応させて評価する手法を検討した. (b) アシスト型LFCの安定解析:火力機の稼働台数が減少したLFCにおいては,発電出力の変化速度制約がより顕著になり,自然エネルギー発電あるいは需要応答の数理モデルを積極的に利用した制御法の開発が重要になる.本研究では,自然エネルギー等のアシスト制御を導入したLFCに着目し,変化速度制約と制御系全体の安定性,およびアシスト系に許容される応答遅れの関係を,区間むだ時間系の有界実補題(提案法)を用いて明らかにした.これらの結果は,変化速度制約に対するロバスト安定性をH∞ノルム条件から与え,さらに本研究で導かれた区間むだ時間系の有界実補題を適用することにより導かれた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度に導いた理論的な成果に基づいて,2022年度着手した応用課題[B]においても,変化速度制約に着目した性能解析法が示されている.これらの応用事例の研究を進める基礎が整い,また応用上有用である理論の一般化について知見が得られつつある.
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Strategy for Future Research Activity |
本年度得られた結果に基づいて,以下の課題に取り組む. [A] 2021年度に取り組んだ応用課題を通じて,1)本研究で導かれた理論的成果が中立型むだ時間系に計算負荷を増加させることなく適用できること,2)複数の独立のむだ時間を扱う場合には計算量の視点から任意個数のむだ時間の解析は難しいこと,が判明しつつある.これらの知見を踏まえて,初年度導かれた区間むだ時間系のH∞制御性能の解析法を一般化し,計算上の有用性を維持しつつ一般的なシステムへの適用法を明らかにする. [B] アシスト型のLFCに着目し,変化速度制約のみならず制御帯域によるアシスト系の分離の可能性を調べ,さらに応答遅延に対するロバスト化の手法を検討する.
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Causes of Carryover |
国際会議がオンライン形式で開催され,旅費等の支出が当初の見込みを下回ることになった.当初の応用研究(スマートグリッド)に関して,システム制約を考慮した設計論の開発が想定されるため,これらの予算は次年度,関連分野の文献・消耗品費等の整備,成果発表に要する経費に使用する.
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Research Products
(5 results)