2021 Fiscal Year Research-status Report
高効率タンデム型太陽電池実現に向けた新規化合物半導体の創製
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21K04131
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
尾崎 俊二 群馬大学, 大学院理工学府, 准教授 (80302454)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | カルコパイライト構造半導体 / 結晶成長 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和3年度の研究計画に従い、CuxAg1-xGaS2(CAGS)半導体結晶(x=1, 0.5, 0.25, 0)を垂直ブリッジマン法により育成した。まず、Cu, Ag, Ga, Sを化学量論的に秤量し、石英管内に真空封入することで石英アンプルを作製した。作製したアンプルは2ゾーン横型電気炉に設置し、高温部が1100°C、低温部が700°Cとなるように段階的に昇温、その後35時間保持することで硫黄化を行った。次に硫黄化した試料を再度真空封入することでアンプルを作製、縦型電気炉に設置し、室温から最高温度の1060°Cまでゆっくりと電気炉の温度を上昇させた後、24時間保持した。その後、~1 cm/dayの速度でアンプルをゆっくりと降下させ、電気炉の温度勾配を利用して融液を徐冷し、結晶を育成した。 結晶成長後アンプルから取り出したCu組成x=0.25のインゴットでは、先端部と上部では、明るい朱色から暗い赤色と場所により色が異なっており、また多くのクラックやボイドが発生した結晶となってしまった。これは、融液が不均一のまま結晶化が起こってしまったためと考えられた。このため、x=0.25, 0.5については再度結晶成長を行った。これらの組成の試料については、融液を均一化するために、硫黄化した試料を封入したアンプルを20°傾斜させた管状電気炉内に設置、ゆっくりと加熱し、最高温度の1100°Cにおいて一定時間アンプルを回転させる(20 rpm)という工程を新たに加えた。その後、温度勾配を有する縦型電気炉にアンプルを再び設置し、~1 cm/dayの速度でアンプルを炉内降下させることにより結晶を育成した。このような工程を加えた結果、取り出したインゴットはほぼ均一な色をしており、ボイドも無い単相の結晶を得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画において、令和3年度では結晶の育成を主に行うこととしていたが、その目的はおおむね達成されている。
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度においては、引き続き結晶の育成を行う。また、育成した結晶を使用して光学測定を行っていく。具体的には、光吸収測定を行うことで、光吸収端エネルギー、光吸収係数を調べる。特に高エネルギー領域における光吸収係数は分光エリプソメータ―を使用する。また、変調分光測定を行うことにより、可視~紫外領域における電子バンド構造を調べる。
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Causes of Carryover |
令和3年度では研究費を予定通り執行した結果端数が生じたが、その端数については令和4年度予算と合わせて使用する予定である。 令和4年度においては光学測定を主に行うが、その際に必要となる光電子増倍管用高電圧電源を購入する予定である。また、結晶表面処理用の薬品等の購入を行う。
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