2023 Fiscal Year Annual Research Report
高効率タンデム型太陽電池実現に向けた新規化合物半導体の創製
Project/Area Number |
21K04131
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
尾崎 俊二 群馬大学, 大学院理工学府, 准教授 (80302454)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | カルコパイライト構造半導体 |
Outline of Annual Research Achievements |
育成したCuxAg1-xGaS2(CAGS)半導体結晶を使用して光学測定を行った。x=0に相当するAgGaS2の試料では、極低温における基礎吸収端の光吸収スペクトルにおいて、励起子に起因する急峻なピークが観測された。これらのピークのエネルギー値から、AgGaS2の励起子束縛エネルギーの値を得ることができた。また、光吸収スペクトルの偏光依存特性を調べるため、光の偏光方向と結晶のc軸方向の角度θを変化させて測定を行った。θの変化に対して基礎吸収端のエネルギーが変化する二色性が観測された。 次に、光吸収スペクトルの温度依存性(10~300 K)の測定を行った。その結果、バンドギャップエネルギー(Eg)は、温度の上昇に伴い、一度高エネルギー側へとシフトしてから低エネルギー側へとシフトするという特異な温度依存性を示すことがわかった。また、Egの特異な温度依存性は、AgGaS2だけでなくI族元素にCuを加えたCAGS混晶半導体結晶でも観測された。 この特異な温度依存性および二色性の原因を明らかにするために、密度版関数法によるエネルギーバンドの計算を行った。その結果、スピン軌道相互作用および結晶場分裂エネルギーが価電子帯頂上におけるバンドの縮退を分裂させ、それらのバンドからの偏光による光学遷移確率の違いが二色性の原因であることがわかった。また、I族原子のd電子とVI族原子のp電子によるp-d相互作用の大きさが、特異な温度依存性に起因していることもわかった。さらにIII族原子のGaをII族のZnとIV族のSnで置換したAg2ZnSnSe4結晶の育成し光学測定を行うことでIII族原子の影響を調べた。
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