2023 Fiscal Year Research-status Report
超伝導技術によるテラヘルツ波スペクトルアナライザの実現
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21K04132
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
成瀬 雅人 埼玉大学, 理工学研究科, 助教 (10638175)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | テラヘルツ波 / 超伝導検出器 / スペクトルアナライザー |
Outline of Annual Research Achievements |
テラヘルツ波帯には様々な物質に固有の輝線・吸収線が存在する一方で、ある程度の透過性も有するため非破壊検査や、星間物質観測など幅広い分野で利用されている。物質の同定には高い周波数分解能が必要となるが、より広い帯域でのスペクトルも重要である。本課題では分解能10000かつ比帯域20%以上を目指して、超伝導伝送線路の特性を利用したオンチップテラヘルツ波分光計を提案している。 本年度は実験に不可欠な冷凍機が故障し、ヘリウムの供給が不安定な情勢などから修理に想定以上の時間がかかったため新たな実験を行うことができなかった。そこで、すでに得たデータから本課題が提案する方式での分解能の推定を進めた。具体的には、超伝導伝送線路の透過損失に意図せず含まれる多数の共振構造を除去する方法として、超伝導薄膜の力学インダクタンスの変化のさせ方として、電流を流した場合とデバイスの動作温度を変えた場合における同一性を前提として、共振の影響を低減させる方法を試みた。また、前年度に引き続き機械学習の手法を利用して、特定の周波数の近傍周波数の測定データを教師として、特定周波数のデータからどの程度の精度で周波数を予想できるかを求めた。また、100Hz以上の周波数で電流を印加すると力学インダクタンスの変化量が小さくなっていくことから、本課題が提案するスペクトルアナライザの掃引時間の限界を検討した。 また、これまでのような長い伝送線路ではなく、反波長共振構造とすることで帯域は狭くなるが作成が容易かつ、高い分解能が期待できる新しい構造のデバイス設計を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
超伝導デバイスの実験に不可欠な冷凍機が故障し、修理に想定以上の時間を要したため予定していた実験を行うことができなかったため、過年度に取得したデータ解析を引き続き行った。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は昨年度までに設計した、新設計デバイスの作製を行い評価を行い、従来の構造との性能比較を行う。また、周波数帯域をテラヘルツ波帯に拡張できるような回路構造を引き続き検討していく。
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Causes of Carryover |
実験設備の故障により、課題遂行が遅延したため。今年度はデバイス設計に必要な電磁会解析ソフトウェアのライセンスや、これまでの成果を学術論文や学会で発表するために使用する予定。
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