2021 Fiscal Year Research-status Report
局所瞬時加熱によるCZTS/CdS結晶再成長メカニズムの解明
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21K04142
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Research Institution | Nagaoka National College of Technology |
Principal Investigator |
島宗 洋介 長岡工業高等専門学校, 電気電子システム工学科, 教授 (50417408)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | CZTS / 化合物薄膜太陽電池 / 結晶成長 / レーザー |
Outline of Annual Research Achievements |
ソーダライムがガス基板上に下部電極Mo、光吸収層CZTS、バッファ層CdS、窓層Al-doped ZnOを形成し、その後に波長445nmのレーザーを出力と走査間隔を変えることによる照射エネルギー密度を制御して照射し、その結晶状態ならびに太陽電池特性の調査を行った。エネルギーを26mWから66mWへ増大、あるいは走査間隔を0.25mmから0.10mmへ縮小することで、X線回折分析においてX線回折パターンのCZTS由来のピーク位置が高角側にシフトし、半値幅が狭くなっていることがわかった。電子顕微鏡による断面観察像からレーザーを照射した試料は結晶粒径の増大を確認した。レーザーを照射していない試料ではCZTS/CdS界面が平坦であるが、レーザーを照射した試料は界面の凹凸が顕著にみられた。これらのことから、レーザー照射において出力26mWから66mWに増大、さらに走査間隔を0.25mmから0.1mmに狭めることにより、レーザーの照射密度が増大しCZTS多結晶の再成長を促し結晶粒径が増大することを確認した。また、太陽電池特性においては、レーザー照射により直列抵抗が低減する一方、66mW条件ではシャント抵抗の低減がみられた。これはレーザー照射密度の過度な増大によりCZTS/CdS界面に凹凸を生じさせ、電極間のリークを増やしたためと推察される。これらのことから、レーザー照射密度の最適化によりシャント抵抗を維持したまま直列抵抗を改善し、変換効率を向上できる可能性があることを明らかとした。本研究内容は、第11回高専-TUT太陽電池合同シンポジウムにおいて"CZTS薄膜太陽電池へのレーザー照射による電池特性への影響調査"と題して発表し(発表番号AM1-2)、優秀口頭発表賞を受賞した。また、Cu-Zn-Sn-S系前駆体薄膜へのレーザー照射を行い、断面観察の結果より多結晶化が前駆体の特に下層で進行することを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初計画においては、XYZ位置制御型のレーザーを照射することとしていたが、位置制御形機構へのレーザーユニット取り付けには既存装置への大きな改造が必要となることが分かったため、確実にデータをとっておくことを最優先し、まずZ方向以外のレーザー照射条件(エネルギー、走査間隔)の絞り込みを行うための実験を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度に絞り込みを行ったレーザー条件を元に、深さ方向制御を含めたレーザー照射による結晶成長制御を試みる。初年度にはCZTS膜厚が比較的薄い400nm程度を中心条件として実施していたが、新年度は膜厚に対しても依存性を調査し、レーザーによる局所加熱の効果が発現する最適な太陽電池構造を明らかにする。
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Causes of Carryover |
見積もり金額よりも実際の購入額が700円ほど安かったために生じました。本差額は次年度にレーザー固定用の冶具を購入するために使用します。
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