2023 Fiscal Year Annual Research Report
局所瞬時加熱によるCZTS/CdS結晶再成長メカニズムの解明
Project/Area Number |
21K04142
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Research Institution | Nagaoka National College of Technology |
Principal Investigator |
島宗 洋介 長岡工業高等専門学校, 電気電子システム工学科, 教授 (50417408)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | CZTS / 化合物薄膜太陽電池 / 結晶成長 / レーザ |
Outline of Annual Research Achievements |
CZTS結晶成長過程へのレーザ照射による影響の強調を狙い、Cu-Zn-Sn-S系前駆体へレーザ照射を行い、結晶構造、光学物性の調査を行った。ソーダライムガラス基板に組成比 Cu:Zn:Sn:S=20:16:13:51 の焼結体ターゲットを用いて RFスパッタ法(50W, 0.4Pa, Ar20sccm, 30min)にて200nmの前駆体を成膜後、波長445nmレーザを出力128-164mWで照射した。レーザ照射雰囲気は大気、Ar および 5%H2S/Ar(1atm)とし、比較のために気相硫化処理 (560 ℃ , 60min, 5%H2S/N2 20sccm,1atm)を施したサンプルを準備した。レーザ照射によってCZTS結晶相が形成されたことをX線回折ならびに紫外可視分光光度計によって確認した。大気およびAr中レーザ照射により硫黄が脱離し、異相であるCu2-xSが形成された一方、5%H2S/Ar中照射では異相の形成が抑制された。また、従来気相硫化と比較して4-10nm程度大きな結晶子を実現した。また、5%H2S/Ar中レーザ照射した試料のアーバックエネルギーは、大気およびAr中よりも21-87meV程度小さくなることを明らかにした。これらの結果は、レーザ照射時の雰囲気に添加する硫化水素がCZTS結晶形成過程において異相の発現を抑え、禁制帯中に存在する局在準位の生成の抑制並びに結晶子増大に寄与する効果があることを示している。一方、5%H2S/Ar中レーザ照射では、従来気相硫化よりもアーバックエネルギーが110-130meV程度高くなっており、レーザ照射によるCZTS結晶品質改善のためには局在準位の低減が課題であることを明らかにした。 研究期間全体を通して、CZTS化合物半導体形成におけるレーザ照射によって、CZTS結晶成長促進効果ならびに太陽電池性能改善を実証できた。
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