2021 Fiscal Year Research-status Report
Frequency Response Analysis of Photorechargeable Process Integrating Photovoltaic and Electrochemical Energy Storage
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21K04156
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
野見山 輝明 鹿児島大学, 理工学域工学系, 准教授 (60274859)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 光蓄電池 / 太陽電池 / ヘテロ接合太陽電池 / 導電性高分子 / チタニア多孔体 / ペロブスカイト系太陽電池 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の最終目標は「蓄電機能を持つ太陽電池:光蓄電池」を発電層と蓄電層の積層により実現することである.2021年度は,発電層の開発として「a1) 酸化銅(C)膜と酸化亜鉛(Z)膜のパルス電着による電気化学的エピタキシャル積層膜の形成」および「a2) C膜とZ膜の連続電着による良好な接合面の形成」に取り組んだ.また,蓄電層は「b1) pellet-TP蓄電層内へ集電極(ナノファイバ導電不織布)の内包と配置の最適化」と「c1) CZ発電層とpellet-TP蓄電層のそれぞれのプロセスの周波数応答解析」に取り組んだ. その結果,発電層について,パルス電着時のパルスデューティ比の調整によりZ膜の配向制御に成功した.また,Z膜電着基板の前処理で稠密なZ膜の作製に成功した.さらにC層電着液にZnO粉末を混ぜてZnイオンの飽和溶液とすることで,C膜電着時のZ膜の溶解を抑制し,稠密かつ配向制御されたZ膜が形成できた.しかし,このZ膜上にC膜を積層したが,狙っていた(111)配向膜が得られず,目的の発電効率まで到らなかった. 次にpellet-TP蓄電層について,集電極の材質について検討を進め,ナノファイバ導電不織布よりもバルク炭素棒(0.5 mmΦ)が好適であり,これを用いてペレット多孔体へのポリアニリン電着に成功し,従来の薄膜系と同等の蓄電性能が得られた.さらに,多孔体上に熱CVDでフッ素ドープ酸化スズ(FTO)導電膜を形成することに成功し,これを用いてチタニア多孔体-ポリアニリン(TP)蓄電層の形成に成功した.これによりpellet型のTP蓄電層の形成に目処が立った. さらにpellet-TP蓄電層の周波数応答測定について,本科研費にてMHzまでの電気化学的インピーダンスの測定と応答解析が可能な装置を導入し,この装置専用の測定補機類を装置を作製し,解析の準備が整った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2021年度は,酸化銅(C)膜と酸化亜鉛(Z)膜のヘテロ接合太陽電池層を発電層として研究を進めてきた.当該年度の研究成果として,高効率な発電の基礎となる「Z膜電着時のパルス電流制御による結晶成長の制御」,「基板の水酸化ナトリウム前処理によるZ膜の稠密化」および「C膜電着時のZ膜上の溶解制御」に成功し,成果は上がっている.しかしながら,現時点で光蓄電池に必要な発電性能に到っていない.本研究の「チタニア多孔体を基材とした蓄電層と発電層の連続電着による積層型光蓄電池」は,将来のコスト減が期待され,非常に魅力的であるが,CZヘテロ発電層の性能が目標値に達するには,研究計画以上の研究期間が必要と判断した. このため,2021年度の中頃から,光蓄電池に好適なCZヘテロ型以外の太陽電池層の探索にも取り組んだ.その結果,蓄電層との積層時に安定して光発電を継続できるものとして,従来の不安定な正孔輸送層を用いない炭素多孔体を用いたペロブスカイト系太陽電池を発電層とする着想を得て,予備実験を行ってきた.このように中途で計画の変更を検討したため,発電層の開発は想定した研究計画よりも遅れが生じている.これに対して,蓄電層の開発は、想定通りに進んでいる. よって,評価は「(3) やや遅れている」として,2022年度より炭素系多孔体を用いたペロブスカイト系太陽電池を発電層の候補として研究を進める予定である.蓄電層については予定通りに進める.
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の最終目標である「蓄電機能を持つ太陽電池:光蓄電池」を発電層と蓄電層の積層により実現するために,2021年度の発電層の見直し(CZヘテロ発電層から炭素系多孔体を用いたペロブスカイト系太陽電池)を受けて,当初の2022年度研究計画を「a2) 炭素系多孔体を用いたペロブスカイト系太陽電池(mpC-PSC)による1平方センチメートル当たり5 mA以上の発電層の実現」,「b2) pellet-TP蓄電層上へのmpC-PSC発電層の積層」,「c2) mpC-PSCとpellet-TP間の電荷移動の周波数応答解析」に変更して研究を進める. 発電層については,新たにmpC-PSCに取り組み,2022年度内に1平方センチメートル当たり5mA程度のmpC-PSCを形成することを目的とする.このための方策として先行研究に倣い,まずは発電層のみの形成にて所定の目標を達成し,蓄電層との積層に取り組む.蓄電層については,現状の研究方針のままで研究を進めて,蓄電量1 mWh (3.6 C) 以上のペレット型のTP蓄電層を実現し,mpC-PSCと積層してmpC-PSC/pellet-TP光蓄電池を形成する.得られた光蓄電池を2021年度に構築した周波数応答測定システムにて,各層の電荷移動および発電と蓄電それぞれの効率および光蓄電効率を評価し,発電層とインピーダンスマッチングした蓄電層を形成し,ペレット型の光蓄電池を作製する.
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