2022 Fiscal Year Research-status Report
VOCフリー塗布成膜技術による配向制御した有機pn接合界面の創成
Project/Area Number |
21K04161
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Research Institution | Kindai University Technical College |
Principal Investigator |
三崎 雅裕 近畿大学工業高等専門学校, 総合システム工学科 電気電子コース, 准教授 (00462862)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | プリンテッドエレクトロニクス / 摩擦転写法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、プリンテッドエレクトロニクスの実用化における共通基盤技術の構築を目指して、一部の共役系高分子にしか適用されていない摩擦転写法を汎用性の高い塗布成膜技術として発展させることを目的とし、今年度は、前年度に成功したフタロシアニン摩擦転写膜のデバイス実装の可否を検討した。 まず、酸化インジウムスズ(ITO)付ガラス基板上に銅フタロシアニン(CuPc) 摩擦転写膜を正孔輸送層として形成した。その上にポリチオフェン(P3HT)とフラーレン誘導体(PCBM)からなるバルクヘテロ層をスピンコート法で形成し、最後にAl電極を真空蒸着して有機薄膜太陽電池を完成させた。しかし、今回試作した素子からは十分な光電流が観測されなかった。これはCuPc 摩擦転写膜が正孔輸送層として機能していないことを示唆している。この原因として、ポリエチレンオキシド(PEO)が膜中に残存しているためではないかと考えた。 このことを検証するため、エタノール溶媒によるPEOの除去について検討した。エタノールによるリンス前後の効果を明確にするため、電界効果型トランジスタによる評価を試みた。酸化膜付きのSiウェハー上にCuPc 摩擦転写膜を形成し、Au電極をマスク蒸着することでトップコンタクト型トランジスタを試作した。Auのソースドレイン電極を形成した後にリンス処理を行うことで同一素子での評価を可能にした。リンス前ではゲート電圧による変調が見られなかったが、リンス後に静特性が観察された。よって、エタノールによって膜中からPEOを除去することに成功したと思われる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
摩擦転写法を汎用性の高い塗布成膜技術として発展させるとともにデバイス実装への道筋を立てるという基本計画はおおむね達成できたが、対象材料としてタロシアニンだけではなく、ペンタセン、フラーレン等の他の低分子材料についての検討やイオン液体のドーピング効果についての検証も必要なため。
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Strategy for Future Research Activity |
材料としてペンタセン、フラーレン等の他の低分子材料にも対象を広げるとともに、イオン液体のドーピング効果についての検証も行う。最終的に、イオン液体の配列や有機半導体の配向を制御したpn接合界面を有する有機薄膜太陽電池を試作する。ソーラーシュミレータを用いて開放端電圧や短絡電流等の電池性能を評価し、配向制御した有機pn接合界面に対してイオン液体が及ぼす影響を明らかにする。
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Causes of Carryover |
デバイス作製用の基板や薬品など必要な消耗品の購入にあてる。また、旅費については、国内調査予定地として神戸市、外国調査予定地としてアメリカ合衆国を計画している。
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Research Products
(3 results)