2021 Fiscal Year Research-status Report
Realization of graphene TFT with high mobility and high on/off ratio using NiCO3/graphene hetero -junction
Project/Area Number |
21K04163
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Research Institution | Matsue National College of Technology |
Principal Investigator |
市川 和典 松江工業高等専門学校, 電子制御工学科, 准教授 (90509936)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大島 多美子 佐世保工業高等専門学校, 電気電子工学科, 准教授 (00370049)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | グラフェン / ヘテロ接合 / 薄膜トランジスタ |
Outline of Annual Research Achievements |
炭素のみで構成される「グラフェン」は、高い電気伝導特性を有することから世界中で注目され、電子回路の核となるトランジスタへの応用が熱望されている。しかしスイッチング時のONとOFFの電流の差が小さいなど現在実用化されていない。 我々はその解決方法にグラフェンと他の半導体を組み合わせた「ヘテロ接合」を作製する研究を進めている。これまで独自に合成前に酸素を導入することでグラフェンの欠陥低減と同時にNiCO3半導体を作製し、ヘテロ接合を実現している。 3年計画の初年度となる今年度は、これまでのグラフェン合成に用いたNi触媒の純度を99.9%から99.99%まで上げ、より高い純度のNiを用いてグラフェンの合成を行った。更に合成温度を精密に変化させ、合成温度の依存性について評価をおこなった。評価方法はラマン分光測定におけるグラフェンの膜質評価だけではなく、グラフェン合成後の触媒のNiについてもX線回折により評価を行った。 研究結果として、これまでと同じ合成温度800℃においてNiの純度による比較を行うと、高純度である99.99%のNiの方が欠陥が少ないグラフェンが形成されることが分かった。また800℃に比べ900℃では合成温度を高くするにつれてグラフェンの欠陥が低減するが、1000℃以上では炭素の析出量が多く層数が厚くなり、逆に欠陥が増大することが明らかになった。またX線回折において合成温度800℃では、NiCO3以外にもNiCが合成されたが、温度を高くするにつれてNiCO3の結晶性が高く他の物質はほとんど見られなかった。 以上の結果から、グラフェンの膜質とNiCO3の結晶性から900℃の合成温度が現時点の適した合成条件といえる。次年度では温度を900℃とし酸素やアセチレンの流量を精密に変え研究を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度はNiの純度によるグラフェンの膜質の変化と合成温度依存性の評価を目的としており、来年度の研究に必要な合成温度を900℃で固定することができたため、おおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
2年目は1年目に決定した900℃の合成を基本とし、酸素濃度とアセチレンの濃度を精密に変化させ研究を行う。 具体的にアルゴンとアセチレンの1:1の混合ガスを導入し、導入時間4分付近の7、10、13分の時間でグラフェンを合成後にXRDやラマン分光測定により評価を行う。その結果により最適時間の±1~2分の値から再実験し、合成時間を狭め実験と評価を繰り返し、最適値を得る。更に過去の研究により得られた鉄基板上での我々の結果を参考に、その最適値にアセチレンガス100%(100sccm)でグラフェンを合成し同様に評価を行う。 決定したアセチレンガスの導入時間、流量比の条件について、酸素流量30sccm、導入時間を20分と固定し、これまでの最高性能実績のあるアルゴンと酸素の流量比90%付近の75、85、95、100%の濃度で同様に評価する。その結果による最適時間の±5%の値を再実験し、実験結果から最適値とする。
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Causes of Carryover |
物品購入費について4万円程度の繰り越しが生じた。今年度予定通りガスと薬品は消耗しているが、あと数回のプロセスが行える量があり、使用期限があることから無理して新たなガスや薬品を購入するのではなく、次年度に繰り越した。次年度は今年度より多くのガスや薬品を使用するため、繰り越し分をガスや薬品等の追加購入分として使用する予定である。 その他の予算について、申請時ではコロナが収束し学会は対面で行われると予想していたが、オンライン開催のため予算よりも大幅に安くなり繰り越しが生じた。現在でもオンラインと対面のハイブリッドの学会が多く、学会の参加がしやすくなったため、繰り越し分はこれまで参加していなかった研究に関する学会の参加費に使用する予定である。
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Research Products
(6 results)