2021 Fiscal Year Research-status Report
共連続構造を有するセラミック複合基板の誘電特性に関する研究
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21K04167
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
嶋村 彰紘 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 材料・化学領域, 主任研究員 (40750104)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今井 祐介 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 材料・化学領域, 研究グループ長 (30356513)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | セラミックス多孔体 / 高周波用基板 / 誘電特性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、セラミックスと樹脂により形成された共連続構造が複合基板の誘電特性に与える影響を解明することを目的としている。 2021年度は、主に複合体の基材となるセラミックス多孔体のモデル構造を提案・設計を行った。本研究では多孔質構造を発泡現象を利用して形成するため、連続構造を形成した多孔質構造の制御に資する発泡条件等の検討や添加剤等による機械的強度への影響について調査を行った。また、セラミックス材料としてはこれまで発泡等で多孔質構造を形成した実績のあり、比較的容易に焼成できる金属酸化物材料を選定し、製造プロセス条件を変えることで低気孔率~高気孔率を有する多孔質セラミックス基材を試作した。 次に、複合体のマトリックスとなる樹脂材料の選定を行った。セラミックス多孔質構造の違いによる複合基板の誘電特性の違いを詳細に調査するため、マトリックス材料には基材であるセラミックス多孔体基材よりも誘電損失が低く、かつセラミックス多孔体基材と複合化の容易な材料を複数選定した。また、樹脂材料との複合化の条件についても、誘電特性に影響を与える欠陥等の発生を抑える条件を選定し最適化することができた。 上記の条件を用いて、セラミックス多孔質基板にマトリックス樹脂を複合化させ共連続構造を形成したセラミックス複合基板を作製した。作製した複合体の誘電特性を調査したところ、共連続構造に起因する複合基板の誘電特性に違いが見られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた、構造の異なる共連続体基材を多孔体作製条件の最適化することで気孔率の異なる複数の基材を作製することができ、さらにマトリックスとなる樹脂材料の選定にも成功したため、共連続構造に起因する複合体の誘電特性を観測することに成功した。この結果は当初想定していた、共連続構造が複合基板の誘電特性に影響を与えることを支持するものであり、今後その詳細なメカニズム解明について行っていく。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度では誘電損失低減に最適なセラミックス連続構造の選定について行う。原料の粒子径、セラミックス多孔体の気孔径や気孔率を変化させ多孔質構造が複合体の誘電損失に与える影響について明らかにし、さらにマイクロ波~ミリ波帯での周波特性について測定し、高周波帯での誘電損失についても調査を行うことで、セラミックス連続構造の最適化を行う。
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Causes of Carryover |
当初予定していた物品の購入を次年度に行うこととなり、当該助成金の差額が生じた。2021年度の残額は、本年度の消耗品として計上する。
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