2021 Fiscal Year Research-status Report
オンチップ低消費電力注入同期型アクティブセルを用いた150GHzアレーアンテナ
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21K04171
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Research Institution | Shizuoka Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
本良 瑞樹 静岡理工科大学, 理工学部, 准教授 (40736906)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 短ミリ波 / アクティブアンテナ / 低消費電力 / 発振器 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究開発で提案する,短ミリ波におけるアレーアンテナを実現するためのアクティブアンテナユニットの実現には,(1)低消費電力な発振器,(2)小型なアクティブアンテナ,(3)外部からの同期が可能なアクティブアンテナユニットが必要になる. 課題(2)であるユニット小型化のため,発振器の共振器をアンテナとしても用いる技術の短ミリ波での実現可能性,短ミリ波帯における共振器効率/(アンテナとしての)放射効率について電磁界シミュレーションを用いて検討した.これまで共振器兼用アンテナはインダクタ/ループアンテナを主として用いてきたが,短ミリ波においては基板損失が大きく,インダクタ/ループアンテナでは基板結合によりQ値が低下し共振器/アンテナの特性が劣化することが確認できた.そこで今年度は,SOIプロセスによる高抵抗基板の利用と,結合線路による共振器特性の向上,基板と共振器/放射器間に無給電反射器を装荷することを検討し,従来利用のCMOSプロセスに比べ,5dBのアンテナ利得の向上ができることが確認できた. 課題(1)である低消費電力発振器について研究代表者がこれまでミリ波帯で検討してきた技術を短ミリ波帯発振器について適用することを検討した.従来型のインダクタ/ループアンテナを用いた短ミリ波発振器の低消費電力動作について検討し試作を行った結果,135GHzで電源電圧0.5V,電流3.8mAでの動作を確認し,バッファ回路込みで2mWでの動作を実現した.回路シミュレーションでの検討結果ではより電源電圧が下げられる見込みであったが,実測では動作が確認できなかった.課題(2)の結果と合わせて検討をした結果,見込みより損失が大きいこと,課題(2)で得られた共振器/放射器を用いることで特性が改善できる見込みが得られ次年度の改良設計に適用する予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
課題(2)の検討として,従来型のインダクタ/ループアンテナが短ミリ波などの高い周波数おいて基板の影響により特性が劣化することが確認できると共に,高抵抗基板・無給電反射器・結合線路を用いた共振器/放射器の特性向上を電磁界シミュレーションにより確認できており問題なく進行している. 課題(1)においては当初目標の消費電力に達してはいないが,課題(2)の検討中に当初見込みより従来型の共振器/放射器の特性が悪いことが明らかとなり,その結果を基に再度回路シミュレーションをしてところ評価結果を説明できる結果が得られた.課題(2)で今年度検討した,共振器/放射器を用いることで特性が改善できる見込みで有り,課題(1)における問題はカバーできると考えられる.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,研究項目①である試作した短ミリ波発振器の改良,および本年度検討の共振器/放射器(研究項目②-1)の適用を行いアクティブアンテナセルを実現していく(研究項目②-2).進捗状況にて言及したとおり,発振器の改良は新しい共振器の適用でほぼ実現できると考えており,試作に必要な電磁界シミュレーション・回路シミュレーションを行い,今年度後半で回路を試作評価する予定である.2022年度における当初目標である,発振器の設計結果ならびにアンテナ兼用共振器の設計・評価結果を組み合わせることでアンテナ一体型のアクティブアンテナユニットを150GHz帯において実現する,が達成される見込みである. 課題(3)の検討は現在注入同期と,搬送波対クロック比の関係を回路シミュレーションにより確認しているところであり,その結果を基に今後注入同期回路の検討を行い,単体での試作を予定している.課題(1)~(3)を組み合わせたIC試作評価を2023年度に実施し,提案するアクティブアンテナユニットの動作を確認する予定である.
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Causes of Carryover |
本年度は高周波プローブの購入と基板試作費・実装費で予算を計上していた.研究代表者の移籍に伴い信号発生器の購入が必要になったこと,当初予定していた直流プローブが利用できなくなったことから予算用途を変更した.高周波プローブについては他予算で購入したものが利用できる目処が付いたことから,信号発生器と直流プローブの購入を行った.そのため当初予算と差違が生じることとなった.次年度はチップ試作を予定しており,昨今の円安によるチップ試作費上昇などが生じているため次年度に利用する予定である.
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