2022 Fiscal Year Research-status Report
次世代高効率増幅器に向けたCRLH線路のみで構成される超小型高調波処理回路の実現
Project/Area Number |
21K04181
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Research Institution | Shibaura Institute of Technology |
Principal Investigator |
田中 愼一 芝浦工業大学, 工学部, 教授 (00556243)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 増幅器 / 高調波処理 / 右手/左手系複合線路 |
Outline of Annual Research Achievements |
1)広帯域と高効率が両立可能な連続F級/逆F級増幅器を1ポートCRLH線路を用いて世界最小の回路サイズで実現した。連続F級モード増幅器は,チェビシェフフィルタを用いて極めて広い帯域で基本波から高調波までインピーダンスを制御する必要から,回路サイズが極端に大きくなるという課題があった。2021年度は,1ポートCRLH線路で高調波を制御し,チェビシェフフィルタでは基本波のみ処理するという回路構成を提案した。その提案に基づき実際の回路への適用を検討した結果,1.6-2.2GHz帯にて70%以上の付加電力効率(PAE)を維持する10W出力GaN HEMT連続F級/逆F級増幅器の試作に成功した。本成果は,2件の国内学会および2件の国際学会にて発表した。 2) 1ポートCRLH線路を用いる高効率増幅器の設計手法の改良に成功した。2021年度は,付加電力効率79%の2GHz帯GaN HEMT増幅器の開発に成功したが,帯域が限定されるのが課題であった。2022年度は,1ポートCRLH線路の高調波負荷インピーダンスが周波数変化に伴って変動するのを抑えるため,CRLH線路の分散特性を最適化する検討を行った。その結果,連続動作の手法を用いなくても1.85-2.05 GHzの帯域で70%以上のPAEを維持できることを確認した。本成果は,電子情報通信学会のマイクロ波研究会(11月)にて口頭発表した。 3)高調波処理を用いる増幅器は,F級など動作級によっては動作帯域が狭くなることが課題であった。シミュレーションにより,高効率動作の狭帯域化の原因を明らかにし,英文論文誌にて成果を発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
今回得られた連続F級/逆F級増幅器は,世界有数の研究機関からの報告と比較しても1/10の回路面積で実現されており,世界トップクラスの成果が得られた。また,高調波処理を用いる増幅器の動作級によって,高効率動作が動作級によって狭帯域化する広く知られた問題について,はじめてその原因を明らかにすることに成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
高効率動作が動作級によって狭帯域化する問題を明らかにしたことを受け,2023年度はその成果も反映した形で新しい1ポートCRLH線路を使った増幅器を開発する。具体的には,狭帯域化が起きにくいと推測される逆E級増幅器を検討し,昨年度のシミューレーションで得られた知見の実験的な裏付けを行う予定である。
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