2021 Fiscal Year Research-status Report
Development of a wide-field magnetic domain imaging system for permanent magnets using high dynamic range synthesis technology
Project/Area Number |
21K04197
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
竹澤 昌晃 九州工業大学, 大学院工学研究院, 教授 (20312671)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ハイダイナミックレンジ合成 / 磁気イメージング / 磁気Kerr効果 / 永久磁石 / 磁区構造 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、磁石試料を広い視野で磁区観察する際に課題となる「明るい結晶粒の白飛び」や「暗い結晶粒の黒つぶれ」を抑制するために、「複数カメラによる同期撮影とHDR画像処理による広視野で優れた磁区コントラストの得られる磁気イメージング装置の開発」を行った。この装置を用いて広い観察視野で磁石材料の磁区観察を行い、「その減磁過程と、他の観察手法で得た結晶組織等の関連を明らかにすることで、高耐熱磁石の設計指針(結晶組織・組成等)を導出する」ことを研究目的として、複数カメラの同期撮影とHDR画像処理による磁区観察システムの開発に取り組んだ。 HDR処理に必要な「明るさ(露光時間)の異なる複数の磁区像を動画として得る」ために、得られる磁区像を複数に分岐するダブルポートを組み込んだKerr効果顕微鏡による磁気イメージング装置を開発した。バルク磁石材料の減磁過程における磁区構造変化を「数mmの広い視野」で観察するための、最適な実験条件(露光時間の組み合わせや磁界を変化させる速度)を導出した。その結果、磁気Kerr効果顕微鏡による観察視野全体で、Nd-Fe-B系焼結磁石の鮮明な磁区像を得ることができた。 さらに、このようにして構築した観察システムを用いて、様々な条件で作成したバルク磁石材料の減磁過程における磁区構造変化を、広い視野の全結晶粒に対して観察することで、試料全体でどの部分が何%減磁したか等の統計情報についても解析を行うことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究初年度に計画していた「複数カメラによる同期撮影とHDR画像処理による広視野で優れた磁区コントラストの得られる磁気イメージング装置の開発」を、おおむね計画通りに行うことができた。その結果、磁気Kerr効果顕微鏡による観察視野全体で、Nd-Fe-B系焼結磁石の鮮明な磁区像を得ることができた。 さらに、この装置を用いて広い観察視野で磁石材料の磁区観察を行い、様々な条件で作成したバルク磁石材料の減磁過程における磁区構造変化を広い視野の全結晶粒に対して観察することで、試料全体でどの部分が何%減磁したか等の統計情報についても解析を行うことができた。 以上より、本研究はおおむね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、開発した磁気イメージング装置を用いて、様々な永久磁石材料の減磁過程を動画として観察することを進めることで、観察条件の最適化や、永久磁石の減磁過程の解析を進展させる。 その上で、磁石試料の高温での特性劣化のメカニズムを解明するために、ミクロ・マクロ解析した減磁機構について、結晶組織との相関関係を明らかにする必要がある。このため、電子顕微鏡を用いたEPMA組織分析、EBSP方位分析によって、磁区観察に用いた磁石試料の「微細結晶組織、方位集積度」を調べる。さらに、測定した「微細結晶組織・結晶方位と、開発した磁気イメージング装置で観察した減磁機構との相関関係」を調べる。特に、結晶粒界の組成・形状や、逆磁区の発生箇所の相関について明らかにする。 これらの検討によって、「高耐熱磁石実現のための結晶組織形成の指針」を導出する。
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