2022 Fiscal Year Research-status Report
NSM-CFRP strengthening of lining-concrete for renewal of road tunnels
Project/Area Number |
21K04213
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
吉武 勇 山口大学, 大学院創成科学研究科, 教授 (10335771)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 補強 / トンネル / FRP / 覆工 / コンクリート |
Outline of Annual Research Achievements |
近年,橋梁やトンネルなどの道路構造物の老朽化対策・長寿命化が活発に進められている.現在,高速道路を中心に劣化した道路橋床版の取り替え工事が全国的に進められているが,道路トンネルに関しては取り替え工事,補強技術が未だ研究開発段階である.これは,道路橋に比べてトンネル内は作業空間などのスペースに制限が多く,覆工コンクリートの取り替えを行うことは容易でないことが一因である. そこで本研究は,トンネル覆工コンクリートに適用可能な補強工法の開発を目指し,標準環境下における補強方法の検討,補強効果の実験および解析を目的としている.ここではアーチ構造となるトンネル覆工コンクリート部材の載荷実験を行うとともに,有限差分法による解析的評価を行った.本研究では,道路橋等の補強技術として用いられるNear-Surface-Mounted(NSM)工法2)をトンネル覆工コンクリートに応用することを考えた.補強材として炭素繊維複合材ケーブル(CFCC)を覆工コンクリート内側表層に配置した試験体および無補強試験体,炭素繊維(CF)シート補強試験体の載荷実験を試みた. その結果,無補強供試体に比べ炭素繊維シート補強,20mm深の溝内に2本CFCCを埋設した試験体,内表層20mmにCFCC(φ13.0)を埋設した試験体は約1.2倍のひび割れ発生荷重を示した.また,補強材料の補強間隔は250mmが適切であった.すべての供試体でコンクリート部材上部の圧壊が起こったことから,健全なアーチ構造であれば,貫通ひび割れは生じないことが分かった.さらに市販の有限差分解析ソフトウェアを用いた解析により実験上の破壊形態を概ね推定できることがわかった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実験研究は計画以上に順調に進んでいるが,解析研究は実験結果を再現する程度で留まっている.
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Strategy for Future Research Activity |
実験研究は予定通り進んでいる.なおこれまでの実験を通じて,トンネル覆工天端箇所の背面空洞が耐荷性能に与える影響が極めて大きいことが予想されたため,今後の実験検討では,背面空洞が及ぼす影響を調べるとともに,このようなトンネル覆工コンクリート部材を内壁面からCFCCで補強した場合の効果について実験検討を行う予定である. また市販ソフトウェアFLAC-3Dを用いた解析により,実験レベルの破壊状況を概ね推定することができた.この解析検討を踏まえて,トンネル覆工全体モデルの解析を進め,終局耐力評価と破壊性状を明らかにすることを目的とする.
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Causes of Carryover |
研究協力体制の計画変更に伴い,解析に要する費用がなくなり,それに伴い謝金が不要になったため差額が生じた.近年の物価上昇,特に円安に伴い国際会議参加登録料および海外出張旅費が大幅に増額したことから,この差額分で充当する予定である.
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