2023 Fiscal Year Annual Research Report
経時による硬化体変化と遷移帯を考慮した物質移動場モデルの形成とその評価手法の確立
Project/Area Number |
21K04216
|
Research Institution | Shibaura Institute of Technology |
Principal Investigator |
伊代田 岳史 芝浦工業大学, 工学部, 教授 (20549349)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 物質移動 / 水和物による吸着・固定 / 遷移帯 / 炭酸化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究においては、第一フェーズとして、各種セメントや混和材料を用いた硬化体における出発組成が異なることで生成される、異なった水和物を同定しながら、それらが形成する空隙構造が物質の移動場となることを考慮して硬化体内の空隙ネットワークのモデル化に取り組んだ。高炉スラグ微粉末やフライアッシュなどを用いることで、普通ポルトランドセメント単体で形成する水和物・空隙組成とは大きく異なることが明確に表現でき、その水和物を考慮した物質移動抵抗性を実際に測定した。また、W/Cの異なる場合においても、空隙組成が大きく異なることを表現した。 一方で、第二フェーズとしては、コンクリート硬化体では骨材との界面(遷移帯)が生じることで、セメントペースト硬化体で求めた結果がすべて応用できるわけではないことを考慮し、古典的な検討ではあるが、遷移帯の生成による物質移動抵抗性の低下を定量的に明確にすることを行った。この時、再生骨材など骨材中の空隙が多い場合の検討も行った。その際、再生骨材表面から溶出するカルシウムイオンが遷移帯に与える影響などの整理も進めることが可能となった。加えて、凝結促進剤などの混和剤を用いることで、遷移帯厚さなどを調整することの可能性も得られた。 更に第三フェーズとして、時間とともに硬化体内に浸透した炭酸ガスや塩化物イオンにより水和物が変質し、その後の物質移動経路を変化させる事象についても、その影響に取り組んだ。特に炭酸ガスが浸透することで、高炉スラグ微粉末を混和している硬化体では、空隙組成が変化し、物質移動抵抗性が著しく低下することを確認し、そのメカニズムの解明にも取り組んでいる。硬化体物性としての強度や静弾性係数に与える影響も大きくなることから、すべてを総合的に説明できるモデル化について、検討を進めた。
|