2021 Fiscal Year Research-status Report
Improvement on bond and anchorage properties of carbon fiber plastic rods in prestressed concrete structures
Project/Area Number |
21K04219
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Research Institution | Kanazawa Institute of Technology |
Principal Investigator |
田中 泰司 金沢工業大学, 工学部, 教授 (40377221)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | FRP / プレストレストコンクリート / 付着 / 定着 |
Outline of Annual Research Achievements |
ガラスコーティングによる表面被覆を施した熱可塑性CFRPロッドを緊張材としたプレストレストコンクリートはり部材の製作を行った.既往の研究を参考として,定着には静的破砕材を注入した鋼管を用いた.ポストテンション式PCはり部材とするために,専用のネジ式固定具を設計・製作した.緊張試験におけるコンクリートひずみの計測結果より,本研究で考案した定着システムのセットロスは,一般のくさび式定着具よりも小さいことが確認できた.プレストレスによる時間変形が十分に収まった後に,中央1点集中荷重による載荷試験を行った.荷重-変位関係の測定結果より,一般のPC鋼より線のケースに比べ,ガラス被覆されたCFRTPロッドのケースでは,ひび割れ後の剛性が大きくなった.非線形構造解析プログラムによる感度解析の結果,プレストレス力のロスの大小が主たる要因であることが推察された.一方,付着強度に対する感度はプレストレス力に比べて低かったものの,部材全体の挙動にある程度の影響を与える結果となった.実験と解析との比較から,ガラス被覆されたCFRPロッドの付着は,はり部材中においても一般の鋼材と同等以上であると推測された. FRPロッドをせん断補強および曲げ補強材として使用するために,定着長と付着強度に関する引抜き試験を行った.FRPロッドには,安価で高強度であるバサルトロッドを使用した.深さごとのひずみ計測の結果から,バサルトロッドの定着長は直径の75倍程度であった.直角フックを設けた際には,フック部の機械的な定着は期待できず,フックの手前と余長をあわせた長さが定着長以上となるように設計する必要があることを明らかとした.また,付着応力-すべり関係は,一般のPC鋼材と同様に,2次曲線と塑性域で構成されるモデルで表現可能であることが確認された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初,2023年度に実施予定であった,CFRPロッドを緊張材としたPCはり部材試験体の設計施工を2021年度中に実施し,ガラス被覆による付着の増強効果を確認することができた.この点では,当初の計画以上に研究が進展した.一方で,当初計画で2021年度中に実施予定であった非腐食材による機械的定着具の製作が遅れている.その主な原因は,3Dプリンタの不具合,故障によるものであり,その問題の解消を進めているところである.以上を総合すると,全体としては当初計画と同程度に進展しているものと自己評価する.
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Strategy for Future Research Activity |
現時点では導入できるプレストレス力が不足しているため,マルチストランドに対応できる定着システムを設計・製作し,PC部材の製作を通して,定着システムの有効性を確認する. 現時点では,バサルトロッドの破断荷重が一般の鉄筋に比べて小さく,代替材料にはならないため,より線加工として破断荷重の増強をはかる.また,より線の定着長さと付着強度の実験を行い,単線での知見と比較を行う.バサルトを含むFRPは強度が大きい分,定着長も大きくなるので,鉄筋と同様の定着方法では実構造物の設計が行えなくなる可能性もある.そこで,定着補強の方法も別途検討する. プラスチック材料による定着具の開発においては,ロッドと定着具との摩擦力の確保が問題となっている.定着具に表面処理を施して付着を増強させ,その効果を実験により確認する.また,開発した定着具を使ったPC部材の製作を行う,
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