2021 Fiscal Year Research-status Report
Measurement of combined deterioration resistance of concrete with a compact neutron source
Project/Area Number |
21K04227
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
水田 真紀 国立研究開発法人理化学研究所, 光量子工学研究センター, 研究員 (00411257)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 中性子 / コンクリート / 水分移動 / 複合劣化 / 中性子イメージング / コンパクト中性子源 / 透過画像 |
Outline of Annual Research Achievements |
コンクリート構造物の耐久性は、一般に鋼材腐食(ひび割れ、中性化、塩害)とコンクリートの劣化(凍害、化学的侵食)に対して照査されている。そこで、鋼材腐食、コンクリートの劣化のいずれも「水」が関与していることに着目し、コンクリート中の水分移動と複合劣化に対する抵抗性の関係を見出すことを研究目的とした。コンクリート中の水分の観察には中性子イメージング(X線のレントゲンに相当)を適用し、アクセシビリティに優れたコンパクト中性子源(本研究では理研小型中性子源システムRANS)を利用している点が本研究の特徴である。中性子イメージングでは、特に水素に強く散乱される中性子の特性を利用することで、コンクリート中の水分を可視化できる。 R3年度は、(1)実際に長期間供用され、複合劣化した道路橋のRC床版を入手し、(2)従来法によりRC床版の劣化状況を把握し、(3)RC床版から採取したコンクリートサンプルの中性子イメージングを実施した。(2)では、中性化深さ、塩化物イオン濃度分布、アルカリ骨材反応判定、細孔径分布、配合推定、圧縮強度、弾性係数を計測した。また、(3)では、RANSのビームタイムを全3週間利用し、水分の移動履歴を観察した。劣化要因と水分移動の関係の議論には、さらなるデータ蓄積が必要だが、中性子イメージングの結果から次の2つの知見を得た。まず、鉄筋や鋼繊維を含んだコンクリートでも水分を捉えられることである。これは中性子と同様、コンクリート中の水分検出に実績のあるMRIに対して優位な結果である。2つ目は、実環境下で生じた鉄筋腐食とそれに伴うひび割れのあるコンクリートの水分移動観察に成功したことである。ひび割れから侵入し、鉄筋周辺に拡散する数時間の水分移動の様子を捉え、さらに、ひび割れ有無に拘わらず、水分浸透抵抗性が低下したコンクリート領域が想定よりずっと広いこともわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
R3年度は、現実に長期供用され、複合劣化したコンクリート構造物を入手できたことが、研究を大きく前進させた。実構造物に発生したひび割れを介した水分浸透の中性子イメージングは、世界初の試みである可能性があり、非常に貴重なデータを得たと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
実構造物のサンプルから得たデータは、現実を反映している故に、コンクリートの材料不均質性、環境条件の変化や構造部位によるばらつき等を含んでいる。今後、さらなるデータを蓄積するとともに、統計的な観点から、劣化と水分移動の関係を大まかに分類する方法を検討する予定である。
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Research Products
(2 results)